皆様、こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
令和5年度に高千穂中学校の移転先の検討が行われました。
結論として、高千穂の湯跡地へ移転するということで決定しています。
しかし「高千穂中学校の移転はどうなったのですか」といった声や、「高千穂の湯跡地への移転はもう決まったことなのですか」「高千穂高校に中学校が入るという話はどうなったのですか」といった声を、今も聞きます。
今回の記事では、高千穂中学校の移転について、私が知りえる限りにはなりますが、協議の経過と結果を、まとめたいと思います。
高千穂高校と高千穂中学校の連携型中高一貫校の模索
現在の高千穂中学校は非常に老朽化しており、また学校敷地の一部が急傾斜地警戒区域にかかっていることから、以前から移転の検討がされていました。
移転先の候補として、前高千穂町長である内倉町長時代から話がでていたのが、高千穂高校の敷地に高千穂中学校が入り、連携型中高一貫校として整備ができないか、というものです。
実際に、前町長時代にも、県教育委員会と高千穂町の間で、協議がされたこともあったようです。
ただ、その時点では「大前提として、高千穂町内の中学校が1校に統合されないと難しい」ということで、また、その当時は、高千穂町内の中学校が1校に統合される見通しが立っていなかったことから、それ以上の進展はなかったようです。
3種類ある中高一貫校
なお、いわゆる中高一貫校には次の3種類があります。
(1)中等教育学校
(2)併設型の中学校・高等学校
(3)連携型の中学校・高等学校
(1)の中等教育学校は、ひとつの学校として、中高一貫教育を行う学校です。
五ケ瀬町にある五ケ瀬中等教育学校がこれに該当します。
そのため、高千穂高校の中に高千穂中学校が入れないか、という協議を、県教育委員会と高千穂町でした際も、五ケ瀬中等教育学校があるので、中等教育学校の形態での実現はできない、という回答があったそうです。
(2)の併設型の中学校・高等学校は、同一の設置者が中学校と高校を設置するものです。
宮崎市にある宮崎県立宮崎西高等学校・附属中学校、都城市にある宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校・附属中学校が、これに該当します。
中学校も高等学校も、どちらも、県立ということです。
高千穂高校は県立、高千穂中学校は町立ですので、併設型もできません。
(3)の連携型の中学校・高等学校は、中学校と高校の設置者が異なるものです。
高千穂高校と高千穂中学校の場合、設置者が県と町ですので、中高一貫校ができたとして、この形態となります。
串間市にある、串間市立串間中学校と、宮崎県立福島高等学校が、これに該当します。
やはり、連携型の中高一貫校になる前に、串間市の中学校が1つに統合されたそうです。
また、串間中学校と福島高等学校の事例は、それぞれに学校があり、徒歩10分程度で行き来ができるということで、実現しやすかったと思われます。
高千穂高校と高千穂中学校の場合は、高校の敷地内に、中学校を入れることはできないか、ということになるため、条件は大きく異なります。
連携型中高一貫校の断念
町長が甲斐宗之町長に代わった後も、連携型中高一貫校の模索は続けられました。
とはいえ、町内の中学校が1つに統合される見通しは立たないままであったため、状況は大きく変わりませんでした。
その一方で、高千穂中学校の老朽化は着実に進みました。
また、仮に中学校が1つに統合され、連携型中高一貫校の検討をしたとして、串間中学校と福島高等学校の事例とは異なり、クリアしなければならないハードルが多岐にわたるため、いつ実現するのかの見通しも立たないままでした。
そうした状況を経て、町長、町教育長、校長などで協議し、連携型中高一貫校を断念し、町単独での移転新築に舵を切ったそうです。
令和4年8月に、宮崎県に対し町単独での中学校の移転新築をすることを報告したということについては、議会にも説明がありました。
移転新築検討委員会の設置
町単独での移転新築という考えに基づいて、移転先の候補地をしぼるために、町を代表する団体など、60名が集められ、令和5年6月に意見聴取会が開催されました。
結果として、5つの候補地が選定されました。
5つの候補地とは、高千穂の湯跡地、高千穂小学校隣接地、総合公園内、折原グラウンド、上野小中です。
そして、令和5年10月に、高千穂中学校移転新築検討委員会が設置され、移転先を決める検討がはじまりました。
検討委員会の構成は、町公連会長、町公女連会長、三田井地区公連会長、町教育委員、町議2名、町内各校PTA会長6名、幼保保護者代表、校長2名といった15名です。
なお、私も議会の代表として、検討委員会に加わっておりました。
検討委員会では、5つの候補地の現地視察、それぞれのメリット・デメリットの精査を行い、そのうえで、各委員による5つの候補地の採点を投票しました。
令和5年11月2日に開催された第3回の検討委員会において、投票結果が発表され、結果として高千穂の湯跡地が最上位でした。
この時点で、委員会における選考結果を町長に報告しています。
また、この検討委員会における選考結果については、令和5年12月議会にて、町長から議会に報告もありました。
上野中学校の閉校の決定
高千穂中学校の移転先の選定と、ほぼ同時に進んでいたのが、上野中学校の閉校についての協議です。
令和5年7月20日に開かれた上野中学校の今後についての地区説明会の場において、令和6年度末で閉校するということで、地域や保護者の意見がまとまったということが、令和5年12月議会にて、町長から議会に報告されました。
つまり、令和7年度からは、高千穂町内の中学校は、高千穂中学校1校になります。
これにより、高千穂町内の中学校が1つに統合されることが確定しました。
そして、そのタイミングで、再度、高千穂高校と高千穂中学校の連携型中高一貫校はできないか、という声が、町長にも届いたそうです。
検討委員会での再協議
令和6年2月22日に、第5回の検討委員会が開かれました。
(私はコロナ陽性で欠席)
会議の冒頭で、町長から検討委員会に対し、高千穂高校との連携型中高一貫校の検討を再度してはどうかということについて、意見を求めたそうです。
その際の委員の意見として
「高校の敷地に中学校が入ると、どうしても中学校側は引け目を感じる。高校行事を優先せざるを得ない」
「子供たちのことを第一に考え、伸び伸びと使える場所として、(高千穂の湯跡地で)1日でも早く整備をしてほしい」
「高校敷地内には一部急傾斜特別警戒区域などがあることから、移転先としては避けてほしい」
「県内に小学校と中学校が一緒になった義務教育学校が増えている。高千穂町もいずれそうなる。町としては、小中で将来を見るべき」
といった意見がでたそうです。
委員の中には、当初は高千穂高校の中に入ることがよいのではないかと考える委員もいたそうですが、子どもたちのこと第一に考えると、やはり、町単独での建て替えがよいという考えに至ったようです。
移転先は高千穂の湯跡地
以上の協議を経て、検討委員会は、移転先として高千穂の湯跡地が最もふさわしい、とする高千穂中学校移転新築基本構想・基本計画を、令和6年2月26日に、町長に答申しました。
その答申を受け、町長は、令和6年3月議会において「委員の皆様の御意見を尊重させていただき、子供たちのことを第一に考え、1日でも早く高千穂温泉跡地での整備を進めたいと考えている」と、議会に報告しました。
令和6年度予算
令和6年度予算における、高千穂中学校の移転新築に関係する予算は次のとおりです。
温泉館解体工事設計費 408万円
レストハウス(ふれあい給食センター)解体工事設計費 382万円
建設予定地の測量設計費 418万円
グラウンド造成設計費 199万円
2月26日に答申があったばかりなのに、3月の議会に提出された予算案に、こうした予算が計上されているのはおかしいのではないか、という意見が一部にありましたが、昨年11月の時点で、移転先は高千穂の湯跡地ということで選定されており、町長にもその時点で報告しています。
予算案を作成するのは答申前ですが、町長としては、少しでも早く事業を進めるために、高千穂の湯跡地で進める場合の予算をあらかじめ含めた予算案を策定したのだと思います。
まとめ
以上が、高千穂中学校の移転新築について、私が知りえる限りの経緯です。
もちろん、私はすべての情報をもっているわけではありませんし、認識の誤りもあるかもしれません。
お気づきの点がありましたら、ご指摘いただければ幸いです。
なお、検討委員会の記録については、町公式ホームページで公開されています。
ぜひ、そちらも見ていただければと思います。
<関連リンク>
高千穂中学校移転新築検討委員会
https://www.town-takachiho.jp/top/soshiki/kyoikuiinkai/20231004.html
また、改めて、高千穂中学校の移転という、町民の皆様にとって非常に関心のあることについて、情報発信の重要性を感じます。
私個人として、町執行部側に情報発信の改善の余地は多分にあると感じます。
私の発信は、あくまで一人の議員の発信であり、町の公式のものではありませんが、高千穂中学校移転に関し、町民の皆様にとって、理解の一助となれば幸いです。
今回は、これで失礼いたします。
高千穂の将来にとって重要な問題です。以前より状況め変わっいると考えます再度オープンな場で協議するべきではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
中学校の移転について、さまざまな意見があることは承知しています。
ただ、すべての意見を取り入れることは現実的に難しく、ご説明させていている通り、高千穂の湯跡地で決定しております。
私としては、さまざまな意見がある中で、なぜ高千穂の湯跡地に移転するという決定をしたのかについて、執行部は町民の皆様に対して、説明責任があると思っています。
積極的な情報発信と、説明責任について、町に訴えたいと思います。