こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉です。
何だか最近は「パワハラ」や「100条委員会」という言葉をよく見聞きするようになりました。
ただ、そんなものはテレビの向こうの世界の話で、高千穂町のような小さなまちでは縁のないことだと思っていました。
ですが、すでに皆様ご承知のとおり、西臼杵広域消防において、パワハラがあったと新聞でも報道されました。
ただ、この件を理解するには、「広域行政事務組合」や「組合議会」などについても理解する必要があります。
今回の記事では、これらの件をまとめたいと思います。
西臼杵広域行政事務組合とは
まずは、西臼杵広域消防とは、どういった組織なのかについて、説明します。
町民の間では、「広域消防」という略称で呼ばれることが多いですが、正式には、西臼杵広域行政事務組合消防本部といいます。
では、西臼杵広域行政事務組合とは何か。
西臼杵広域行政事務組合とは、西臼杵郡の3町(高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町)が共同で設立した組織で、ごみ処理、消防、病院業務を担当しています。
なぜこうした組織をつくるのかというと、高千穂町単独でこれらの業務を運営するには財政的負担が大きすぎるため、負担を軽減し、公共サービスの質を向上させるために、3町が協力して効率的に運営しているのです。
組合議会とは
高千穂町の予算や条例は、高千穂町議会が審議します。
では、西臼杵広域行政事務組合の予算や条例は、誰が審議しているのか、説明します。
答えは簡単で、「西臼杵広域行政事務組合」(以下、事務組合)にも議会があり「西臼杵広域行政事務組合議会」(以下、組合議会)と言います。
では、組合議会の議員は誰なのかというと、高千穂町議会から4人、日之影町議会から3人、五ケ瀬町議会から3人の議員が選出され、合計10人で構成されています。
高千穂町議会から選出する4人をどのように決めるのかというと、議長や常任委員会の委員長などの当て職としているため、議会内の役職が決まれば、おのずと組合議会の議員も決まります。
ちなみに私は令和3年9月から令和5年9月までは常任委員会の委員長でしたので、組合議会にも出ていましたが、令和5年10月からは外れております。
事務組合から組合議会にパワハラの報告
事務組合と組合議会について、理解をしていただけたうえで、パワハラについて、どのような動きがあったのか、まとめます。
令和6年7月27日(土)に組合議会の議員全員が集まる、全員協議会が開催されました。
通常、土日は休みなのですが、緊急性があっために、急遽、召集されました。
その会議において、事務組合の消防本部より、組合議会に対し、消防本部において、パワハラ事案があったと報告が行われました。
具体的なパワハラ事案の内容を簡単にまとめると、次のとおりです。
6月13日
高千穂町内でおこなわれた懇親会の二次会で、AさんがBさんから暴言を受ける。
6月17日
Aさんが、パワハラを理由に、辞職願を提出。
一旦、預かり扱いとするとともに、今回及びこれまでに受けたパワハラに関する書面作成をAさんに依頼。
6月20日
Aさんが、パワハラ行為について書面にまとめ提出。
その後、6月13日に同席していたCさんに聞き取りをした結果、内容に相違ないことを確認。
6月25日
Bさんに聞き取りを実施。
否定はしないものの、一部記憶にないとの返答。
7月4日
Bさんに対し、停職1カ月とする懲戒辞令を交付。
Aさんに対し、辞職を考え直してくれないかと相談するも、本人の辞職の意思が固いことを確認。相談の上、退職日を7月19日とする。
7月19日
Aさん退職。
匿名で宮日新聞社あてに、パワハラに関するメールが送られてくる。
宮日新聞より広域消防に取材依頼あり。
Aさんに取材を受けてもよいかどうか確認したところ「かまわない」とのことで、取材をうける。
7月20日
宮日新聞に記事が出る。
報告を受けた組合議会の対応
報告の中で、令和5年の段階で、消防職員にアンケートが実施されており、その中でパワハラと疑われる記述があったこと。
広域消防が開署した平成27年から今回の件も含め、定年以外の理由で退職した者が7人いること。
なども報告がありました。
こうした報告を受け、組合議会は事態を重く受け止め、真相の究明と、広域消防の職場環境改善を図るため、8月9日に、組合議会議員全員を委員とする「西臼杵広域行政事務組合消防本部におけるパワーハラスメント等に関する調査特別委員会」(100条委員会)を設置しました。
100条委員会は、地方自治法第100条に基づき、地方議会が議決によって設置する特別委員会で、行政の事務に関する調査を行うことができます。
この委員会は、関係者の証人喚問や資料提出の要求など、強力な調査権を有しています。
100条委員会の調査権は非常に強力で、例えば通常の情報公開請求では、公開に関して制限があったり、行政が公開を拒否することもありますが、100条委員会の場合、行政はその要求を拒否することはできません。
今回の委員会では、関係者全員に対して証人喚問を行う予定で、最終的に、令和7年3月での報告をめどとしています。
特別委員会での報告は、証人喚問から得られた事実の報告になります。
つまり、今回のパワハラの件も含め、他にもパワハラがあったのかどうかについての調査結果です。
特別委員会でできることはそこまでです。
仮に新たなパワハラが発覚したとしても、特別委員会に職員を処分する権限はありません。
職員に処分を下す権限があるのは、あくまで管理者である高千穂町長です。
私は組合議会の議員ではありませんので、特別委員会にも出席しておりません。
まだ調査段階のため、特別委員会に出席している議員との情報共有もしておりません。
まずは、特別委員会の報告を待ちたいと思います。
今回は、これで失礼します。