こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
西臼杵広域消防本部において、パワハラ事案が発生したことは、以前、書かせていただきました。
現在、西臼杵広域行政の議会に、過去のものも含めた西臼杵広域消防のパワハラの実態を把握するため、特別委員会(100条委員会)を設置し、調査中です。
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そして、12月5日に、西臼杵広域行政の議会において、パワハラ調査の中間報告が行われました。
また、100条委員会の設置により、委員会に同席する弁護士の費用や、証人喚問に来てもらうため、郡外に居住する退職者の旅費や会議録作成の委託料などの経費が、新たに必要となります。
西臼杵広域行政の費用は西臼杵3町で分担して負担しています。
高千穂町が負担する追加費用が、高千穂町の一般会計の補正予算案に含まれていたことから、高千穂町議会においても、関連の議論が展開されました。
今回の記事では、これらの内容をまとめたいと思います。
パワハラの常態化は明白との中間報告
まず、パワハラ調査の中間報告の内容について、その概要をまとめます。
<中間報告要約>
15回にわたり委員会を開催し、新規採用を除く現職36名、退職者9名に聞き取りを実施。
管理職を除く一般職員27名中20名から、個人の容姿や家族への誹謗中傷、訓練中の暴言・暴力、酒席での暴言・暴力などのパワハラ被害の証言があった。
複数名いる加害者とされる職員の証言ではパワハラの認識がなく、パワハラ常態化していたことは明白。
平成25年の消防常備化準備室時代から現在に至るまで、適応障害、うつ病などの診断を受け休職した職員がいる。
現職職員のうち、4名が今年度中の退職の意向を示し、時期を明言せずに退職を検討している職員も6名ほどいる。
外部講師によるハラスメント防止講習会などを実施したが十分な機能は果たさなかった。
上司に相談したが改善されなかった。また、西臼杵3町長や高千穂町副町長へ相談したという証言もあり、今後、西臼杵3町長などへの聞き取りも行う。
聞き取りの最中に、パワハラによる精神的苦痛を思い出し、涙が止まらず、言葉にならず、証言を中断する者が多数いた。
中間報告を聞いた個人的所感
私は、現在は、西臼杵広域行政の議員ではありませんので、100条委員会にも参加していません。
中間報告で聞いた内容は、驚くばかりでした。
特に、退職を検討している職員が10人ほどもいるという点に、事態の深刻度があらわれていると思います。
現在、38人いる職員のうち、10人です。
そのうち4人が今年度中の退職の意向とのことです。
まさに、組織の存続に関わる事態です。
早急な職場環境の改善が求められます。
また、報告の最後に、証言中に涙する者が多くいたとありますが、その光景が蘇ったのか、報告の最中に、100条委員会の委員長である佐藤さつき議員が、涙ながらに声を詰まらせながら、報告していた姿が印象的でした。
被害を訴えている職員の方が、これまでにどれほどつらい思いをしたきたのかを、物語っていると感じました。
100条委員会の経費 323万円
100条委員会を開催するにあたり、追加の補正予算として、323万円が計上されています。
内容としては、例えば、委員会に同席してもらう弁護士の費用です。
パワハラの調査は、非常にデリケートな問題であり、調査に偏りがあってはいけません。
弁護士に同席してもらい、調査過程で不当な圧力や偏見が加わらないようにする役割を担っていただきます。
その他には、聞き取り調査をする際に、現在は郡外に居住している退職者に来てもらうための旅費や、委員会の会議録作成委託料などです。
これら経費は西臼杵3町で負担することとなっており、高千穂町の負担分としては、179万円となります。
この179万円については、高千穂町の一般会計の補正予算案に含まれていましたので、高千穂町議会の12月の定例会の中で、関連した質疑が行われました。
高千穂町議会における関連した議論
高千穂町議会における質疑の内容は、次のとおりです。
(正式な会議録ではありません。内容の要約になります。)
Q 100条委員会の予算がなければ、被害者の救済ができないと考えているが、不要な税金の投入ともとらえている。西臼杵広域行政事務組合の正・副管理者である3町長などに減給などの処分が必要では。
(本願議員による質疑)
A 私を含め管理職が積極的に情報収集し職場の改善をすべきだったという反省がある。
管理職としての責任の取り方を検討する必要もあるが、現在も1 00条委員会の調査中であるため、現時点では職場の改善を最優すべきと考えている。
Q パワハラが起きた要因の一つに、消防本部が西臼杵だけの閉鎖的な小さな組織で人事異動もないことがあげられる。
例えば警察は県の組織のため、人事異動により勤務地が変わり、人間関係も変わる。
西臼杵だけの考えでできないが、消防組織の広域化を進め、県単位や県北単位などでの消防組織の統合を検討をしては。(板倉の質疑)
A はじめて頂く意見のため、日之影町長、五ケ瀬町長や消防本部において共有させていただく。
まとめ
行政の最大の役割は、住民の生命・財産を守ることだ、ということがよく言われます。
中でも、消防業務は、まさに直接的に、住民の生命に関わる仕事をしています。
パワハラによって、多くの消防職員が退職を検討している現状は、まさに、組織の存続の危機と言えますし、住民の生命の危機にもつながりかねない状況です。
現在もまだ100条委員会の調査が続いている最中ですので、まずは年度末にあるであろう、最終報告を待ちたいと思います。
また、最終報告を受けた西臼杵広域行政の管理者である高千穂町長をはじめとする管理職が、どのような対応をするのかについても、注視したいと思います。
今回はこれで失礼します。