
こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
3月議会で審議した議案の中で、もっとも世間をにぎわしたのが、高千穂峡周辺にある町営の観光駐車場の料金改定だと思います。
今回の記事では、この件についてまとめます。
高千穂峡の5つの町営観光駐車場
高千穂町は宮崎県随一の観光地で、年間130万人ほどの観光客が訪れているといわれています。
その一方で、公共交通網が充実していないこともあり、訪れる観光客の8割から9割は乗用車で来ているということですので、約110万人が乗用車で来ているとみられています。
高千穂町で最も人気のある観光スポットは高千穂峡ですが、こうした観光客を受け入れる高千穂峡周辺の町営観光駐車場が以下の5つです。
第1御塩井駐車場
台数 34台
第2あららぎ駐車場
台数 50台
第3大橋駐車場
台数 50台
※今後、整備予定あり、整備後は30台
第4押方駐車場
台数 200台
第5駐車場
台数 220台
高千穂峡駐車場利用台数
5つの駐車場のうち、最も利用頻度が多いのが、第1と第2駐車場です。
こちらについては、すでに有料としているため、利用台数についても正確な数字がわかっています。
令和4年度
第1 6万9182台
第2 3万4742台
合計 10万3924台
令和5年度
第1 7万10台
第2 3万8341台
合計 10万8351台
これに加え、第1、第2に車を停めることができなかった人が、第3から第5駐車場に停めることになります。
特に第3駐車場は、かなり稼働率が高いと思います。
駐車場関連の収入と支出
すでに有料化している第1と第2駐車場は、町営駐車場ではありますが、実際の管理は町観光協会に委託しています。
また、高千穂峡内がとても道が狭いこともあり、泰1駐車場が満車になると、第2駐車場や、さらには第3駐車場に誘導する警備員も町が委託しています。
そして多くの人が訪れる観光地ですので、高千穂峡内のトイレなどの清掃にも、コストがかかります。
では、町営駐車場の運営および高千穂峡内トイレ等清掃、交通誘導する警備員の経費の経費が実際にどれくらいなのかというと
令和5年度 5700万円ほど
令和6年度 6700万円ほど
令和7年度 7500万円ほど(予算段階)
となっています。
一方で、現時点の第1・第2駐車場からの収入はどうなっているのかというと、
令和5年度 4600万円ほど
令和6年度 5000万円ほど
となっています。
つまり高千穂峡に来ていただく観光客をお迎えするためのコストが、駐車場収入よりも上回っているのです。
物価・人件費高騰の傾向は今後も続くと思われますので、このままだと、収支の差額がさらに大きくなることが懸念されるところです。
高千穂峡に来ていただく観光客をお迎えするためのコストを、いかに確保するのか、財源確保が課題となります。
財源確保のため駐車場料金改定
財源確保策として、町執行部が考えたのが、観光駐車場の料金改定でした。
具体的には、次のようになります。
第1御塩井駐車場
500円→1000円
第2あららぎ駐車場
300円→1000円
第3大橋駐車場
無料→800円
第4押方駐車場
無料→500円
第5田口野駐車場
無料
改定なし
料金改定を8月に実施することで、令和7年度の駐車場収入を1億1600万円と見込んでいます。
この料金改正の議案が議会に提出され、結論としては可決しました。
第3と第4駐車場の料金改定時期を冬に変更
しかし、3月定例会後に若干の予定変更がありました。
もともと第1から第5駐車場の全てを8月から料金改定する予定でしたが、8月から料金改定するのは、第1と第2のみとのこと。
理由としては、第3駐車場については、有料化のためのロック板などの整備を6月頃に予定していたのですが、観光の閑散期である冬の期間にすることとしたとのこと。
第3駐車場周辺には観光客向けの商店が複数あり、6月に工事をすると、これらの商店へ影響がやはりあると思います。この変更は妥当な変更と言えます。
そのため、第3駐車場の整備が完了後に、第3と第4駐車場の料金改定を実施するとのことです。
これにより、駐車場収入は、幾分か減少となりそうです。
今回は料金改定なしの第5駐車場
第5田口野駐車場(家畜市場横)については料金改定はなく、従来通り、無料となっています。
理由としては、第5駐車場は、観光客だけでなく、地元の町民も利用することの多い駐車場であるため、今回については、料金改定を見送ったようです。
しかし、議会からは、第5駐車場も有料にしてはどうかという意見もありました。
それもそのはずで、今回の料金改定に向けた基盤整備として、町は1億円以上を投資しているからです。
ちなみに主な財源は企業版ふるさと納税による寄付金です。
本町に思いを寄せてくれる企業があるということは、本当にありがたいですね。
観光で稼ぐまちへ
多くの観光客の方が高千穂町に来ることは基本的にはいいことですが、快適に観光をしていただくための駐車場や警備員、トイレの清掃などには、当然ながらコストがかかります。
これらのコストを捻出するための財源確保についても、きちんと考えておかないと、観光で稼ぐどころか、観光客がくればくるほど、町の支出が増えていく、なんてことにもなりかねません。
今回の料金改定で、駐車場収入でもって、駐車場の管理や警備員、清掃などの基本的な支出は賄えるようになります。
観光客の皆様にとっては、決してうれしい料金改定ではないことと思いますが、高千穂峡が持続可能な観光地となるには、致し方ない料金改定であると、ご理解いただけると幸いです。
では、今回はこれで失礼します。