板倉てつお 公式ブログ

一般質問報告 人口減少時代の高千穂の総合戦略を問う

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出典:議会だよりたかちほNo.130



こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

令和8年3月議会では、第3期高千穂町まち・ひと・しごと創成総合戦略について、一般質問をしました。
さまざまな観点で質問をしましたが、今回の記事では、質問の背景と質問内容の主な論点3点にしぼって、説明したいと思います。

まち・ひと・しごと創成総合戦略とは

まず、高千穂町まち・ひと・しごと創成総合戦略(以下、総合戦略)について、説明したいと思いますが、その前に、高千穂町総合長期計画(以下、総合長期計画)から説明します。

総合長期計画は、まちの将来像を示し、福祉・教育・産業・環境など全分野にわたる施策の方向性を定める最上位の計画であり、いわば、家をつくる際の設計図です。

一方、総合戦略は、人口減少や地域活力の低下といった課題に対応するため、雇用創出や移住定住促進などに重点を置いた実行計画であり、総合長期計画の中の重点プロジェクトと位置付けられています。家を作る際の、こだわるポイントといったところでしょうか。

総合戦略の歴史は比較的新しく、2014年の第2次安倍政権が進めた「地方創生」政策から生まれました。
10年の節目を迎えたばかりというところです。

10年の取り組みの見直しから生まれた、地方創生2.0

10年の節目を迎えたところで、国は、今後の地方創生の考え方として、令和7年6月に地方創生2.0を打ち出しました。

これまで約10年にわたる地方創生の取り組みを検証し、東京一極集中の是正や地方の人口減少に十分な歯止めがかかっていないという反省を踏まえて再構築された政策です。

地方創生2.0は、これまでの人口減少対策を最重要とする考え方から、人口が減少しても持続可能な地域をつくる方向へとシフトした新たな政策です。

デジタル技術の活用による生産性向上や、地域外の人材も取り込みながら持続可能な地域経営を目指すものです。また、量的な拡大だけでなく、質的な豊かさや地域の魅力向上を目指す点が特徴です。

これまでの取組を検証し、課題を踏まえて次の政策に反映している点は、国として一定の責任ある対応がなされているものと評価できます。

論点1 高千穂町のこれまでの取り組みの検証は

では、高千穂町がこの度、新たに総合戦略をつくるにあたり、これまでの10年間の取り組みの検証はしたのか。今回、新たに作る総合戦略は、これまでの取り組みの反省を踏まえたものなのか、というのが、私の1つ目の論点です。

というのも、新たな総合戦略に目を通しても、これまでの取り組みに対する検証や分析、反省についての記載が見つけられなかったからです。

ちなみに、これまでの総合戦略では、合計特殊出生率を引き上げることや、UIJターンによる転入を年間50人などの目標を設定していました。

答弁1 検証結果を新たな計画に反映 

この論点についての質問と答弁をまとめます。

Q. これまでの10年間の取り組みについて、どのように検証したのか。
A. まち・ひと・しごと創成会議の商工関係者、学識経験者などの委員の皆様から、意見をいただいている。

Q. 検証結果を、新たな総合戦略に明記すべきでは。
A. 検証結果という形では記載していないが、検証した内容が、新たな計画の中で反映されている。

Q. 検証結果を明確に記載した方が、新しい計画の妥当性や説得力を高める。5年後の次の計画策定時には、ぜひ明記していただきたいと考えるが、いかがか。
A. まち・ひと・しごと創生会議の中で検証した資料などはあるので、開示はできる。ただ、計画の中に入れ込むか、別冊として提示するかについては、検討させていただく。

論点2 人口減少に対する町の考えは

国が策定した地方創生2.0は、これまでの人口減少対策を最重要とする考え方から、人口が減少しても持続可能な地域をつくる方向へとシフトした新たな政策だということは、先述のとおりです。

では、高千穂町が新たにつくる総合戦略はどうなのか、従来の人口減少対策を最重要とする考えを続けるのか、あるいは、国と同様に、人口が減少しても持続可能な地域をつくる方向へとシフトするのか、というのが、2つ目の論点です。

個人的には、国と同様に、人口が減少しても持続可能な地域をつくる方向へとシフトする方がよいと思いますが、高千穂町の新たな総合戦略に目を通したところ、高千穂町は、以前同様の考え方のように感じました。

というのも、総合戦略には様々な数値目標を設定し、その達成をめざす構造になっているのですが、その数値目標の多くが、以前の総合戦略のものと、ほぼ同じ内容でした。

その真意を確かめたかったのです。

答弁2 国の動向を注視し施策を実行 

この論点についての質問と答弁をまとめます。

Q. 新たな総合戦略は、従来どおり人口減少を食い止めることを主な目的とするのか、あるいは、国の地方創生2.0を踏まえ、人口減少を前提としながらも、地域を存続させることを目的とするのか。
A. 前内閣が地方創生2.0が打ち出され、人口減少を前提とした地域の持続にシフトしたことは承知している。その後、現内閣が、新たな「地域未来戦略」を今年の夏ごろをめどに取りまとめるとしていることから、今後の動向を注視し、具体的な施策を実行していく。

Q. 人口が減少しようとも地域が存続していくということがより重要と考える。しかし、新たな総合戦略を見ると、以前の数値目標、例えば、町全体の農産物生産額など、引き継がれたものが多くある。人口減少を前提とするなら、数値目標としては、生産者一人当たりの生産額のような、人口に左右されない数値目標が必要では。
A. 今後検討していく中においては、そのような考え方も一つの重要な考え方になると思う。

Q. 女性や若者に選ばれる地域づくりが重要と考える。今回の総合戦略策定にあたり、若者や女性の参画の状況は。
A. 委員の方や、事業所の実務者ヒアリングにおいて、女性や若者の参加があった。

Q. 今回は、たまたま、委員の方の中に女性がいたり、事業所の実務者の中に女性や若者がいたというわけだが、より積極的に女性や若者が参画する仕組みづくりが必要では。
A. 女性や若者の参画については、まち・ひと・しごと創生会議に限らず、積極的に取り組む必要があると思うので、今後の参考にさせていただく。

論点3 ふるさと住民登録制度の取り組みは

国の地方創生2.0において、画期的だと感じたのが、ふるさと住民登録制度です。

東京一極集中の是正や地方の人口減少に十分な歯止めがかかっていないことは、まぎれもない事実です。では、この状況において、どのように持続可能な地域をつくるのかというと、地域に住んでいる人だけでなく、住んでいなくとも、その地域に関わる人、つまり関係人口とともに地域づくりをすればいいのではないか、というわけです。

イメージしやすい例でいうと、田植えや稲刈りの時には、町外から息子が帰ってくる、という感じです。
あるいは、神社巡りが好きで何度も高千穂に来ています。建国まつりのパレードにも参加しました、という事例も、関係人口と言えます。
さらにいえば、毎年、高千穂町にふるさと納税をしています、という人も、関係人口を広い意味でとらえると、関係人口に入ると思います。

こうした高千穂町の関係人口と言える人々は、以前からおられるわけですが、町として可視化することができていません。
つまり、町が関係人口の方々に、何かお知らせをしたいことがあるとしても、その手段がないのです。

それを可能にするのが、国が主導する新制度の、ふるさと住民登録制度です。

ふるさと住民登録制度は、住民票を移さずに特定の地域に関わる人を「ふるさと住民」として登録し、継続的な関係づくりを図る仕組みです。具体的には専用アプリ等を通じて手軽に登録・情報取得が可能となるようです。

人口減少が進む中、移住だけに頼らず、地域外から関わる「関係人口」を広げ、来訪や移住、地域活動への参画につなげていくことを目的としています。

国の主導する制度ではありますが、この制度を活用するかどうかは、市町村の判断にゆだねられます。
私としては、率先して、活用すべきと思います。

答弁3 モデル事業を注視する

この論点についての質問と答弁をまとめます。

Q. 国が今年度、創設する、ふるさと住民登録制度に、本町は参加するのか。
A. 制度設計の詳細が不明で、現時点での参加は難しい。モデル事業を実施する他自治体の状況や国・県の動向を注視する。

Q. まだ不明な点も多い事業だからこそ、先行者メリットが発揮されると考える。ふるさと納税も、先行者であればあるほど、成功している。再度、考えを伺う。
A. 具体的に、担当課がどこになるかなど、検討したい。

まとめ

今回の一般質問を通して、「これまでの取り組みをどう次につなげるか」という視点の重要性を改めて感じました。

総合戦略は町の将来を左右する重要な計画であるため、検証の見える化や、人口減少を前提とした考え方への転換など、5年後の次回の計画策定の際には、さらに議論を深める必要があります。
また、ふるさと住民登録制度のように、「関係人口」を、どのように広げていくかも重要なテーマです。

今後も計画の進捗を注視しながら、実効性のある計画となるよう提言を続けていきます。

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