こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今日は、宮崎交通の路線バスに対する補助金について、まとめたいと思います。
増加傾向の路線バスへの補助金
宮崎交通の路線バスは、県全域で見ると赤字になっており、国・県・市町村がそれぞれ補助金を拠出し運営しています。
高千穂町には、延岡-高千穂、高千穂-五ケ瀬の宮崎交通の路線バスがあります。
高千穂町の3月議会において、平成30年度の補正予算として、宮交路線バスへの補助金276万円が計上されました。
当初予算の400万と合計すると、平成30年度の宮交路線バスへの補助金は676万円となります。
ちなみに、この補助金は近年増加傾向にあり、以下のような推移となっています。
平成25年度 416万円
平成26年度 457万円
平成27年度 433万円
平成28年度 480万円
平成29年度 598万円
平成30年度 676万円
この補助金額がどのように算出されているのか、私は知りませんでしたので質疑したのですが、それがこの記事でした。
補助金は県内の全市町村で負担
宮崎交通の路線バスが県全域では赤字と書きましたが、路線によっては(おそらく宮崎市内など)黒字の路線もあります。
しかし、公共交通は生活に必要不可欠のものであるため、補助金は宮崎県内の全市町村で負担するようになっています。
(つまり、高千穂町だけが補助金を出しているわけではありません。)
どのように算出されるのか、上の記事だけではわかりにくいので、補足します。
まずは、市町村で負担するべき補助金が以下のように算出されます。
「経費-収益-国・県補助金=市町村が負担するべき補助金」
経費とは、宮崎交通が路線バス事業を運営するにあたって必要な経費です。
収益は、乗客から支払われる運賃などです。
これだけでは赤字ですので、国、県からの補助金があります。
この差額が市町村の補助金となります。
あとは路線のキロ数から、キロ当たりの補助すべき額を算出します。
「市町村が負担するべき補助金÷全路線のキロ数=キロ当たりの補助すべき額」
そして、それぞれの市町村内の路線バスのキロ数を算出し、それぞれの市町村の補助金額が決定されます。
「キロ当たりの補助すべき額×市町村内の路線バスのキロ数=各市町村で補助すべき額」
乗車人員も減少傾向
バス事業の運営にかかるコストはある程度が一定の固定費でかかると思います。
一方、収益となる乗車人員については、年々、減少傾向にあります。
延岡~五ケ瀬間の乗車人員は以下のようになっています。
平成25年 96,391人
平成26年 95,939人
平成27年 97,498人
平成28年 90,974人
平成29年 88,236人
平成30年 84,920人
この5年間の間に、1万人も利用者が減少していることがわかります。
これを見ると、赤字が増加するのも当然ですね。
運転士不足も影響
さらに、バス事業の運営にかかるコストも近年、増加傾向にあるとのことです。
理由は、運転士不足です。
バス事業の運営のために必要な運転士を十分に確保できていないそうで、不足しているマンパワーを残業で賄っているそうです。
そうなると当然、残業代が発生します。
残業代は、人件費の単価が高くなりますので、結果的にコストが増加しているのだそうです。
収益は下がるわ、コストは上がるわで、赤字が拡大するのは当然ですね。
大型二種免許保有者数が減少
そもそも、バスの運転に必要な大型二種免許の保有者数が、年々減少しています。
警察省が公表している運転免許統計によると、大型二種免許の保有者数の推移は、以下のようになっています。
26年度 986,518人
27年度 964,383人
28年度 942,526人
29年度 919,242人
30年度 896,127人
さらに、30年度の896,127人の内訳をみると、65歳以上が406,611人となっており、大型二種免許の保有者の高齢化率はなんと45%にも上っています。
今後、さらなる減少と高齢化が予想されます。
全国の路線バス 7割は赤字
国土交通省が発表した、「平成29年度の一般乗合バス事業(保有車両30両以上)の収支状況について」によると、なんと、約7割の会社が赤字となっています。
原因としては、これまで見てきたように、人口減少による利用者の減少と、運転士不足だと思います。
少子高齢化の問題は、実にさまざまな分野に及んでいることを改めて実感しました。
この問題は、何も対策を打たなければ、今後さらに進行することは間違いありません。
こうすればよいのではという案を、今のところ持ち合わせておりませんが、まずは、この問題を多くの県民と共有するところから始める必要があると思いました。
それでは、今回はこれで失礼します。