こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今日は、写真のように大きく報道された、発電所の改修工事と高千穂峡のボートの件をまとめたいと思います。
大きく報道されるその反動で、やはり誤解も広まってしまう側面があるのかなと思いますが、こうゆう時こそ、正しい情報が広まればと思います。
水ヶ崎発電所とは
水ヶ崎発電所とは旭化成が所有する発電所で、1950年(昭和25年)に運転開始して以来、延岡にある旭化成の工場で使用する電気の一部を供給しています。
動力となる水は、高千穂峡上流の取水口から五ヶ瀬川の水を取り入れ、導水路を経由し、水ヶ崎発電所に至ります。
位置関係を見ると、このようになります。
旭化成が改修工事の計画を発表
操業から約70年が経過していますが、現在も問題なく運転できているそうです。
しかし、2016年の熊本地震の際は、別の会社の同様の発電所が被災し、周辺地域に被害が及ぶ事例があったとのこと。
水ヶ崎発電所においても同様のリスクがあるため、熊本地震クラスの災害が起きたとしても大丈夫なように、あるいは被害を最小限にするために、強靭化を図るための改修工事をしたいとのこと。
時期については、あくまで案の状態ですが、2021年10月から2024年3月の2年6ヶ月としています。
取水停止で水位が上昇 ボート乗り場が水没
改修工事をするには、取水を停止する必要があります。
今まで水を抜いていたのに、水を抜かなくなるので、五ヶ瀬川の水位は上昇します。
その結果、観光客にとても人気のある高千穂峡内のボートの乗り場が水没。
さらに、水量が増すことで流速が早くなり、とても手漕ぎのボートは漕ぐことができなくなるそうです。
高千穂峡ボート乗り場
観光協会の収入の約半分がボートの収入
もしも、改修工事の2年半の間、ボートが運休すると、高千穂町の観光の魅力が減ることになります。
ホテルや旅館、商店などへの影響が考えられます。
そして、もっとも影響があるのが、高千穂峡のボートを運営している高千穂町観光協会です。
年間収入の約半分がボートの収入ということで、単純に収入が半減することになります。
協議会を設立し旭化成と協議
この件は、高千穂町にとっての一大事です。
そこで、町内の6団体(役場、町議会、観光協会、商工会、旅館業組合、飲食業組合)が集まり協議会を組織し、旭化成と協議をしていくことになりました。
なお、協議会の会長は町長が勤めます。
また、議会からは、総務産業常任委員会委員長の中島早苗議員が参加しています。
今後、お互いにとってよい結論を見つけるまで、協議を重ねることになります。
まだ決定事項は何もなし
新聞やテレビなどで、長期間のボートの運休が決まったかのようなニュアンスで報道されたのですが、現時点では、まだ何も決まっていません。
正しくは
「改修工事のために取水をやめると、その影響でボート乗り場が水没するという問題が起きることがわかったので、町の関係者で協議会を組織し、今後、旭化成と話し合いを重ねる」
ということになります。
旭化成としても、地元の理解が得られてから工事をするというスタンスでいてくれています。
ノーベル化学賞の吉野彰さんを輩出した旭化成ですので、今回の難題にも正面から向き合い、協議会とともに解決策を見出していただきたいと思います。
では、今回はこれで失礼します。