板倉てつお 公式ブログ

国のコロナ補正成立 国・県・町の施策まとめ

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

昨日(4/30)、コロナ対策を中心とした国の補正予算案が可決しました。


※宮崎日日新聞(2020年5月1日より)

 

新型コロナウイルスの影響が様々なところに出ているため、その対策も個人に対するものや、事業主に対するものなど、様々なものがあります。
タイトルを「国・県・町の施策まとめ」としていますが、その全てをまとめると、かえってわかりにくくなってしまいます。

ここでは、中小企業者や個人事業主(以下、事業者)に対しての主要施策を中心にまとめます。
高千穂町独自の施策もまとめましたので、高千穂町内の方は参考になさってください。

なお、私なりに理解した内容をまとめますが、もしも記載内容に誤りがあれば、ぜひご指摘ください。

 

国の対策その1 持続化給付金

国が打ち出した施策のひとつが、「持続化給付金」です。
これは、新型コロナウイルスの感染症拡大により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者に対し、法人は200万円、個人事業者は100万円を上限に給付するものです。
創業して間もない事業者についても特例として対象になります。

国の補正予算における本事業の予算額は2兆3,176億円となっています。

申請はオンラインでするようになっており、受付開始が補正予算案成立の翌日、つまり、今日(5/1)からとなっています。

また、申請後2週間後程度で給付されるとしています。
つまり、5月1日に申請が完了すれば、5月14日頃には給付を受けられるということになります。

 

<参考リンク>
持続化給付金に関するお知らせ(速報版)

経済産業省関係令和2年度補正予算

 

国の対策その2 雇用調整助成金の拡充

「雇用調整助成金」とは、産業構造の変化などに伴う経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持をする場合に、休業手当などの一部を助成するものです。

受給できる金額は、まず、前年度に支払った給与総額から1人あたりの平均給与額を計算し、休業手当の額を決定します。

ちなみに休業手当は、労働基準法第26条において、雇用側都合の休業の場合、平均給与の6割以上を支払わなければならない旨が定められています。
例えば、平均給与額が15,000円/日の場合、休業手当はその6割以上の9,000円以上支払う必要があります。

その額に助成率を乗じた額が支給金額(上限8,330円)となります。
大企業と中小企業で助成率が異なり、下記のようになっています。

大企業:1/2→新型コロナ特例措置で3/4
中小企業:2/3→新型コロナ特例措置で9/10
(※どちらも解雇を行わない場合)

上記の平均給与額で中小企業の場合、9,000円×9/10=8,100円/日となります。

この条件で、従業員が10人いて、10日間休業した場合の助成額は、次のようになります。

8,100円/日×10人×10日=810,000円

この申請は、各ハローワークや労働局になります。

なお、国の補正予算における本事業の予算額は8,330億円となっています。

 

<参考リンク>
雇用調整助成金リーフレット

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充します

令和2年度厚生労働省補正予算(案)の概要

 

国の対策その3  セーフティネット保証4号・5号

「セーフティネット保証」は、中小企業信用保険法という法律に基づく制度で、簡単に言うと、突発的な外的要因(大規模災害など)で資金繰りが苦しくなった中小企業を助ける制度です。

事業者が民間金融機関から借金をする時は、限度額の範囲内で借りることになります。
すでに借金をしている場合、新たに借金をしたいと思っても融資の審査に通りづらいですし、仮に通ったとしても、あくまで既存の限度額内になり、希望通りに融資を受けられない可能性が高いです。

しかし、大規模災害などが発生し、多くの中小企業が資金繰りに苦しくなり、バタバタと倒産していけば、社会への影響がとても大きくなります。

そこで、突発的な災害などが起こった場合、経済産業大臣の権限で、セーフティネット保証制度を発動することができます。

発動されるとどうなるのかというと、既存の借金の返済が終わっていない場合でも、既存の限度額とは別に、新たな限度額内で、民間金融機関から融資を受けることができるようになります。

しかし、民間金融機関からすれば、回収が終わっていない債権者に新たな限度額で融資をすることはリスクが伴います。

そこで、この制度では、信用保証協会という公的機関が事業者と金融機関の間に立ち保証人になります。
仮に、その事業者が返済できなくなった場合、80%を信用保証協会が金融機関に返済します。
つまり、金融機関が負うリスクは、融資した額の20%のみでよいというわけです。

一方、事業者としては、借金の返済が終わっていないのに、新たな借金をすることに抵抗があります。
なぜなら、通常の借金の場合、元金だけでなく、保証料と利息も返済していく必要があるからです。

そこで、今回のコロナ対策としてのセーフティネット保証では、国もしくは自治体が保証料と利息を負担することになっており、事業者としては、実質、無利子・無担保で元金のみを返済していけばよい、ということになります。

これにより、金融機関は貸しやすくなり、融資を受けたい事業者は融資を受けやすくなるという仕組みです。

また、セーフティネット保証には1号から8号まであり、それぞれ性質が異なります。

4号は自然災害などが発生した地域に対して(現在の対象地域は全国)、5号は状況の悪化している業種に対しての制度です。

申請の流れとしては、
1.市町村へ認定申請
2.取扱金融機関へ融資申込み
3.審査、融資
となります。

国の補正予算における本事業の予算額は、2兆7,014億円となっています。

 

<参考リンク>

●経済産業省公式ページ
新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策を講じます(セーフティネット保証4号の指定)

新型コロナウイルス感染症に係る中小企業者対策を講じます(セーフティネット保証5号の指定)

●宮崎県公式ホームページ
新型コロナウイルス感染症緊急対策貸付の創設について

●経済産業省ホームぺージ
経済産業省関係令和2年度補正予算

 

国の対策その4 地方創生臨時交付金

感染拡大により疲弊する地域経済の回復を後押しするための財源として、「地方創生臨時交付金(以下、臨時交付金)」が、補正予算に組み込まれました。

つまり、国が全国の都道府県、および市町村を支援するためにお金を出し、その使途は各自治体が決定することになります。

臨時交付金の補正予算の額は1兆円です。
5月中に自治体からコロナ対策の実施計画を募り、6月に交付額を決定するとしています。

この使途については、国と地方で一悶着がありました。

国としては、当初は、感染拡大を抑えるための診療体制確保や、終息後の観光振興、地域産品の消費拡大などを想定していました。

しかし、緊急事態宣言発出後(4月7日に7都道府県に、4月16日に全国に)、休業への補償は国がするべきという批判が高まり、臨時交付金を休業補償の財源とすることを容認するようになったのです。

この国の方針転換を受け、休業補償について足踏みしていた自治体も、補償を打ち出すようになっていきます。


※宮崎日日新聞(令和2年4月21日)より

 

<参考リンク>
令和2年度補正予算(案)の 概要 (内閣府)

 

 

宮崎県の対策 その1 休業要請協力金

宮崎県は当初は休業要請には消極的でした。

しかし、上記の臨時交付金の使途として休業要請に対する協力金も認められたことで、風向きが変わりました。

熊本県(4/21)や鹿児島県(4/22)といった隣県の知事が休業要請と休業補償を発表しました。

こうした動きを受け、宮崎県内でも同様の対策を求める声が高まり、4月24日に河野知事が約93億円の補正予算案を発表し、その中のひとつとして、休業要請と協力金の支給を行う方針を発表するに至りました。


※宮崎日日新聞(2020年4月25日より)一部加工

 

そして、4月27日に補正予算案の内容が発表され、休業要請協力金として1事業者あたり10万円支給されることが発表されました。


※宮崎日日新聞(2020年4月28日より)

 

この申請の受付は、令和2年5月7日木曜から令和2年6月30日火曜までで、提出先は宮崎県商工観光労働部商工政策課となっています。

<参考リンク>
宮崎県休業要請協力金について

 

宮崎県の対策 その2 小規模事業者事業継続給付金

宮崎県独自の施策として打ち出したもののひとつが「小規模事業者事業継続給付金」です。

これは、新型コロナウイルスの感染症拡大により、売上が前年同月比で75%以上減少している事業者を対象に、一律で20万円を給付するものです(開業して1年未満の事業者も対象になるケースもあります)。

また、県の休業要請協力金と併せて受給することもでき、両方合わせて最大30万円の支給になるということです。

なお、申請は5月からで、こちらの窓口は商工会になるとのことです。

<参考リンク>
小規模事業者事業継続給付金について

 


※宮崎日日新聞(令和2年4月25日より)

 

高千穂町の対策 5つを事業化

国の対策その4の臨時交付金を財源に、高千穂町でも独自のコロナ対策が検討され、4月28日に下記の5つの事業が公表されました。
事業総額は7,100万円です。

なお、臨時交付金の交付額はまだ未定で、あくまで予想として7,100万円くらいもらえるだろうという予想にもとづいたものです。

5つの事業のうちの4つについて解説します。
(※のこりの1つは、国の対策その3のセーフティネット保証の利息を町が負担するケースもあり、そのための事業です)

また、町の事業については、まだ議会で可決していないこともあり、申請方法などの詳細については今後発表されるとのことです。


※夕刊デイリー(2020年4月29日より)

 

高千穂町の対策 その1 社会保険労務士等へ依頼する経費の補助

これは、国の対策その2で紹介した雇用調整助成金などの申請には、専門的な知識が必要で、多くの事業者が実際には社会保険労務士へ依頼することになるという実状を受けたものです。

そこで町では社会保険労務士等へ依頼する経費の一部を補助する事業に取り組みます。
補助額は補助対象経費の2/3(上限10万円)となっています。

 

高千穂町の対策 その2 家賃など経費の補助

これは、1ヶ月の売上が20%以上減少した事業者に対し、家賃・リース代・水光熱費・賃金・買掛金など、支払う必要のある経費の一部を補助するものです。

売上減少率が20~50%未満の場合、補助額は対象経費の4/5(上限20万円)。
売上減少率が50%以上の場合、補助額は対象経費の4/5(上限30万円)。

 

高千穂町の対策 その3 商品券事業の拡大

高千穂町では毎年、町内のみで使用できるプレミアム付商品券を発行する事業をしています(実際の事務は町商工会へ委託)。
令和2年当初予算でも1200万円の予算がつけられている事業です。
今回、コロナ対策として、この商品券事業の予算額を800万円増額し、合計2000万円の事業となります。

 

高千穂町の対策 その4 宿泊業への支援

高千穂町内で宿泊業を営んでいる事業者への支援です。
1ヶ月間の売上が20%以上減少している施設が対象で、補助額の算定には【規模割】と【客数割】があります。

【規模割】
昨年度4~5月の宿泊人数
・2000人以上 100,000円
・1000人~1999人 80,000円
・500人~999人 60,000円
・1人~499人 40,000円
・農泊、キャンプ場、貸別荘 30,000円

【客数割】
客一人当たり平均単価
・20,000円以上 200円
・10,000円~19,999円 100円
・9,999円以下 50円

例えば、昨年度4~5月の宿泊人数が400人で、平均単価が6,000円の宿の場合、次のようになります。

40,000円+50円×400人=60,000円

 

まとめ

今回のコロナ禍では、良くも悪くも、自治体の自治が非常に注目される機会になっていると思います。
残念ながら、宮崎県も高千穂町も財政力に余力があるとはいえません。
そのため、国の臨時交付金の決定があるまで、あまり動きを見せれませんでした。
一方で財政力に余力のある自治体は、国や県の決定を待たずに独自の動きをした自治体もあります。

私個人の意見として、自治とは本来、独自に動くべきものだと思います。
そして、そのためには、独自に動くための財政力がなくてはいけません。

1人の議員として、高千穂町の財政健全化をこれまで以上に強く訴えていきたいと思いました。

 

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