こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
前回は、高千穂町は財源不足のため、ふるさと納税をお願いしたいという内容で書かせていただきました。
ここで、少し自治体の財政に詳しい方であれば、「財政調整基金(自治体の貯金)があるじゃないか」と思われたかもしれません。
今回は、財政調整基金について少し詳しく書きたいと思います。
財政調整基金とは
財政調整基金とは、簡単に言うと町の貯金のことです。
町税などの歳入は年度により増減があります。
歳入増の場合はよいとして、歳入減になれば、財源不足になる可能性があります。
財源不足になると、やろうと思っていたことができなかったり、あるいは、それまでしていた行政サービスを停止せざるをえなかったりという不都合が生じます。
そこで、財源不足になったとしても、財源を補えるように、どこの自治体でも、一定の金額を財政調整基金としてもっているわけです。
財政調整基金の減少続く
しかし、高千穂町はここ5年間、財政調整基金が億単位で減少しているのです。
棒グラフにもあるとおり、平成30年度末に13億あったものが、令和2年度末には8億円代まで減少する見込みとなっています。
財政調整基金の適正額は
財政調整基金はどの程度の額を持っているのが、その自治体にとっての適正額になのか。
これについては、答えがあるようでありません。
自治体の考え方次第です。
ただ、総務省の調査によると、多くの自治体で目安としているのが、「標準財政規模の5~20%」だそうです。
標準財政規模とは
今度は、「標準財政規模」とはなんぞやとなるわけですが、サラリーマンの基本給のようなイメージで考えていただければいいかなと思います。
つまり、給与の中には、基本給と、時間外手当や通勤手当などがつく会社もあると思います。
自治体も同じで、いろんな収入があるのですが、最も基本的な収入を表すのが、標準財政規模です。
高千穂町の標準財政規模がいくらかというと、平成29年度の数字で、46億6449万円です。
高千穂町の基金の適正額は
高千穂町の標準財政規模である46億6449万円の5~20%は、2億3,322万円~9億3,289万円となります。
また、甲斐町長は財政調整基金の適正額について、どの程度を考えているのかというと、以前の議会で「10億円ぐらいは持っておく必要があると考えている」と発言がありました。
ですので、甲斐町長としては標準財政規模の20%程を、財政調整基金として持っておきたい、という考えだということになります。
いよいよ健全な財政運営が求められる
まとめとしては、以下のように言えると思います。
令和元年度末までは、標準財政規模の20%以上の残高があり、まだ余裕があったと言えます。
令和2年度末には8億円代まで減少する見込みですので、いよいよ標準財政規模の20%を割り込みます。
それでも、標準財政規模の15%以上はありますので、危機的な状況とまでは言えないと思います。
とはいえ、5年連続で実質単年度赤字が続いており、基金の減少が続いています。
このあたりで実質単年度赤字の黒字化を実現しなければ、財政調整基金の残高が標準財政規模の10%に、さらには5%にと、ならないとも限りません。
こうした状況では、財政調整基金をさらに取り崩してコロナ対策に取り組む、ということが厳しいというわけです。
いよいよ本腰を上げた健全な行財政運営が求められます。
執行部の今後の行財政運営に期待したいと思います。
では、今日はこれで失礼します。