こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
6月19日に6月の定例会が閉会してから初めての投稿です。
いつもなら、今回の議会の概要をお伝えするところですが、多くの皆様に少しでも早くお伝えせねばという、まさに緊急事態がありますので、議会の概要は後回しにしたいと思います。
では、その緊急事態とは何かというと、高千穂神社にある鉄造狛犬が、修理のために7月上旬から約1年もの間、高千穂を離れるというのです。
鉄造狛犬は国指定の重要有形文化財
高千穂神社にある鉄造狛犬は、国指定の重要有形文化財になっています。
対になっており、神社の拝殿の左右に展示されています(写真参照)。
こちらが口を開いている啊形(あぎょう)。
ガラスで反射して見にくくてすみません。
こちらが口を閉じている吽形(うんぎょう)
文化財のデータベースを見ると、このように書いてありました。
頭を高く立て、腰をしぼり、四肢を細目につくって筋肉や関節を際立たせるなど、颯爽とした姿態の一対で、その象形は同時代(鎌倉時代)の木彫狛犬の作例と比較しても遜色がない。
鉄像は銅像に比べて複雑な形の鋳造、細部の仕上げが困難であるが、この一対はそれらを大過なく行なっており、その鋳技は鉄造遺品中出色のものといえる。
とても簡単にいうと、鎌倉時代にこれだけのものをつくった、ということがすごい、ということだと思います。
アップで見ると、その精巧さがわかります。
ちょっと、かわいい。
鎌倉時代ですよ。
800年も前ですよ。
いやぁ、すごいです。
また、鉄製の狛犬自体がめずらしく、全国に高千穂町の高千穂神社、向山神社、宇都宮市の二荒山神社の3ヶ所にしかないそうです。
鉄造狛犬の市町村別全国シェア率は高千穂町が66%で全国トップってことですね。
鉄造狛犬は源頼朝が奉納
この狛犬がどこから来たのかという話がまたすごいです。
なんと、源頼朝が天下泰平を祈願するために奉納したものだそうです。
源頼朝なんて、私にとっては完全に教科書の中だけの人でしたが、こんなところで接点ができるとは、なんか感動ですね。
ちなみに、源頼朝本人が来たわけではなく、名代として畠山重忠という人が来たそうです。
また、畠山重忠は、狛犬を持ってきただけではなく、スギを植えたそうです。
そのスギが今では立派な大木になっていて、畠山重忠の出身地が秩父であることから、「秩父杉」と呼ばれています。
こちらが秩父杉。
大きすぎて写真に収まりません。
逆光で撮影したからか、神々しい写真になりました。
樹齢800年のスギってすごいですね。
ちなみに、今の林業は樹齢40年で伐採するのを短伐期、80年で伐採するのを長伐期と言っていますが、800年まできたら、何というのでしょうね。
6月議会で文化財保護費15万円が可決
6月の議会で、町独自のコロナ対策事業などを含む補正予算案が可決しました。
補正予算案はいくつもの事業の予算が合算したものです。
その中に、文化財保護費の15万円があり、内訳として2つの事業がありました。
そのうちの1つが、この記事で紹介した高千穂神社の鉄造狛犬を修理するための町からの補助金です。
修理の費用の総額は324万円ということですが、国指定の重要文化財ということで、国が大半の費用をみてくれます。
修理のため、7月上旬には、京都の美術院に運ばれ、修理が終わるまでに1年はかかる見込みということです。
ちなみに、文化財保護費のもうひとつの事業は、遺跡にかかると思われれる土地に住宅の建設予定があるそうで、遺跡の試掘のための予算です。
鉄造狛犬を見るなら今
というわけで、高千穂神社の鉄造狛犬は1年間、高千穂を離れます。
見るなら今しかありません。
1年間お別れするので、しっかりと目に焼き付けましょう。
そして、帰ってきた時にどんな姿になって帰ってくるのか、楽しみですね。
ビフォー、アフターを比較するのも、いいですね。
今週末は、ぜひ、高千穂神社へ!
では、今回はこれで失礼します。