こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
9月3日の議会初日に、町が運営する2カ所の公衆浴場について、高千穂の湯は令和2年度末で閉館、天岩戸の湯は存続、という方針が町長から発表がありました。
※夕刊デイリー2020年9月4日より
今日はこの件についてまとめたいと思います。
平成6年天岩戸温泉、平成10年高千穂温泉オープン
まずは2施設の成り立ちを振り返ります。
平成6年(1994年)に天岩戸温泉がオープン。
建設費は約4億円。
オープンの年には、11万4,299人の入館者がありましたが、361万円ほどの赤字でした。
そして、平成10年(1998年)に高千穂温泉がオープン。
建設費は約9億8,000万円。
オープンの年には、17万7,060人の入館者がありましたが、1,511万円ほどの赤字でした。
ちなみに、両施設とも、オープンの年が現時点までで最も入館者が多いのですが、最も入館者が多い年でも赤字だったということになります。
その後、両施設とも入館者は右肩下がりで、毎年、赤字を計上することになります。
平成31年度 温泉から公衆浴場に
赤字を計上し続けながらも高千穂町による運営が続けられてきた2施設ですが、平成31年度(2019年度)に大きな節目を迎えます。
温泉は10年ごとの成分分析が義務付けられているのですが平成30年の検査において、温泉の成分を満たすことができなくなっていることがわかりました。
それに伴い、平成31年度からは、温泉ではなく水道水を使う公衆浴場として運営されることになりました。
なお、オープンから平成30年度までの累積赤字は
高千穂の湯で9億6,587万円
天岩戸の湯で5億4,474万円
となっていました。
公衆浴場検討委員会を設置
平成31年4月に、オープン以来ずっと赤字で、さらに温泉でもなくなった2施設の今後について検討する委員会が設置されました。
委員会には関連の課長や、観光協会長、旅館業組合長、商工会長、まちおこしグループ代表、町議会議員代表者など、幅広い面々により、検討が重ねられました。
町民アンケート実施
検討委員会は町民の意見を集めるため、公民館に入っている全世帯を対象に、アンケート調査が実施されました。
その結果の概要は、下記のとりです。
・両施設を存続させる 14.5%
・1施設を存続させる 43.1%
・両施設とも休館・閉館 31.7%
さらに、1施設を存続する場合はどちらを存続させるのかについては
・天岩戸の湯 56%
・高千穂の湯 44%
となりました。
高千穂の湯の閉館を町長に提言
検討委員会は、アンケートの結果や、町民との意見交換会を経て、高千穂の湯の閉館という結論に至ります。
その検討結果を、町長に提出。
町長に最終的な決定を委ねていました。
そして、9月3日の議会初日に、町長より高千穂の湯の閉館が、公表されました。
民間企業を募集する高千穂の湯
高千穂の湯が今後どうなるのかについて、補足したいと思います。
現時点で決定しているのは、「高千穂の湯の運営から、高千穂町が撤退する」ということです。
町としては、引き続き公衆浴場として利用が継続できるように、令和3年度からの高千穂の湯の運営を担う民間企業を募集する考えです。
そのため、新たな運営会社のもと、高千穂の湯が継続する可能性もゼロではありません。
いい運営会社が名乗りを上げてくれるといいですね。
財政健全化のためにはやむなし
最後に、議員としての私の意見を書きたいと思います。
今回の町長の発表について、残念な思いもある一方、高千穂町の財政健全化のためにはやむを得ないと思いました。
近年、高千穂町は厳しい財政状況が続いています。
そのため、貯金にあたる基金を、毎年、1億円以上崩しています。
もちろん、基金には限りがあるので、このような状況は続けられません。
ちなみに、令和元年度末の一般会計の基金残高は約28億円でした。
こうした状況の高千穂町の財政を立て直すためには、収入を増やすか、支出を減らすかしかありません。
しかし、町の収入はほぼ決まっており、収入を増やすことは容易ではありません。
となると、支出の削減しかありません。
支出の削減とは、何をやめるということです。
こうしたことから、オープン以来ずっと赤字だった公衆浴場の1つから撤退することは、やむを得ないと思います。
この件については、いろいろな人が、いろいろな考えをお持ちだと思います。
中には、今回の町長の決定を歓迎していない方もおられると思います。
しかし、町の財政事情がひっ迫している中で、何かを決断しなければならない状況にあるという点について、ご理解いただければと思います。
では、今日はこれで失礼します。