こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
前回の12月議会で私が一般質問をした内容は下記の議会だよりのとおりですが、もう少し補足をしたいと思います。
地域内における経済の回し方の重要性
経済を回すって大切ですよね。
だから、今のコロナ禍においても、感染症対策とあわせて、経済を回す必要性が説かれているわけです。
でも、経済の回し方にもいろいろあります。
コロナ前であれば、
「外国から観光客に来てもらってお金を落としてもらう」
という、ワールドワイドな回し方もありましたし、コロナ禍においては
「地元の人に地元で買い物をしてもらう」
という地域内の回し方もあります。
今回のコロナ禍は、もちろん多くの事業者に影響がでているわけですが、人の移動が大きく減少しているため、上の例でいうと、
「外国から観光客に来てもらってお金を落としてもらう」
というスタイルで商売をしていた事業者の方が、より影響がでています。
今回のコロナ禍が収束したとしても、いつ、また、同じような感染症が拡大するかわかりません。
そこで、これまで以上に重要視されているにのが、上の例でいうと後者の、地域内における経済の回し方です。
地域内の経済循環により、経済効果は倍にもなる
今から、例え話をします。
高千穂町という地域に、100万円がはいってきました。
子牛が売れたとか、宝くじに当選したとか、なんでもいいです。
では、100万円がはいってきたことで、高千穂町における経済効果がどうなるかというと、高千穂町内でのお金の使われ方によって、倍にもそれ以上にもなります。
下の図をみていただくとわかりやすいですが、地域内における循環率が80%の場合、100万円は最終的に500万円の経済効果をもたらします。
しかし、循環率が60%の場合、100万円は最終的に250万円にしかなりません。
つまり、地域内の経済循環を高めれば高めるほど、地域をより豊かにするということです。
出典:「人口減少対策における農山漁村地域のあり方について」 藤山 浩
経済循環を高めるための提言
私は今回の一般質問で、地域の経済循環を高めるための政策提言をしました。
今回の主な政策提言は下記のとおりです。
提言1
医療機関で使用できる商品券を
提言2
学校給食の食材を地元で生産せよ
提言3
木質バイオマスエネルギーを利用促進せよ
実際にはこれ以外にもありますが、全てを書くとかなりの長文になるのでやめておきます。
詳細を知りたいという方は、下記、質問通告文をご覧ください。
提言1 医療機関で使用できる商品券を
提言の「医療機関で使用できる商品券を」について、簡単に説明します。
高千穂町民の方には説明不要と思いますが、町では毎年、地元商店で使用できる商品券事業に取り組んでいます。
地元経済の活性化策のひとつで、大手のスーパー、ドラッグストアなどでは、使用できません。
町にその意図があるかどうかは別として、私が今回、テーマとしている地域内の経済循環向上に、ひと役かっている施策だと思っています。
一方で、高千穂町の国民健康保険、後期高齢者医療保険の医療費を調べると、高千穂町の町民の方が、町内と町外のどちらの医療機関に、よりお金を支払っているかがわかります。
調べた結果、町外の比率が上がっていることがわかりました。
医療も経済の一部ですので、高千穂町全体として経済循環率を向上させるには、医療機関においても商品券を使用できるようにするべきだと思います。
そのため、「医療機関で使用できる商品券を」という提言をしました。
答弁1 目的に応じて対応する
「医療機関で使用できる商品券を」という提言に対して、町長の答弁をまとめると、以下のような内容でした。
「毎年実施している商品券事業は商工業振興のためなので、商工会加盟店しか使えない」
「一方、令和元年度に消費税増税に伴い実施した商品券は、生活者支援が目的だったため、病院でも使用できるよう対応した」
「今後も目的に応じて対応する」
令和元年度の消費税増税にともなう商品券は、財源が国でした。
私としては、高千穂町が毎年、自主的に実施している商品券について医療機関でも使えるように、という提言だったので、この答弁ではあまり期待できそうにないですね。
ただ、今後も機会あるごとに提言したいと思います。
提言2 学校給食の食材を地元で生産せよ
高千穂町には、現在7つの小中学校があります。
(上野小中学校は1校としてカウント)
その7校の、令和元年度の給食会計の支出先を見ると、支出額合計が約4400万円であるのにたいし、町内企業への支払いは約1500万円と、約34%にとどまっています。
高千穂町では、給食の調理はそれぞれの学校でしています。
そのため、地元でつくられている食材を給食で利用するという「地産地消」は、ある程度できていると思います。
そして、さらに経済循環率を高めるために、給食で消費されているが、現在は高千穂町で生産されていない農産物も生産する体制づくりをしてはどうか、というのが提言の趣旨になります。
答弁2 まずは協議する
この提言についての答弁をまとめると、以下のようなものでした。
「夏秋野菜については全小中学校の量を賄うことが可能だが、冬野菜などは必要量を揃えられないかもしれない。
そのため、まずは給食の現場と生産者で、どれだけの品質と量の野菜が調達できるのか、協議したい」
ということで、こちらは、今後の行政の頑張りに期待したいと思います。
提言3 木質バイオマスエネルギーを利用促進せよ
地域の経済循環の向上を考えるうえで、さけて通れないのが、エネルギーについてです。
なぜなら、エネルギーについては多くの場合、外部に依存せざるを得ないからです。
しかし、エネルギーの中でも数少ない循環可能なエネルギーが、木質バイオマスエネルギーです。
つまり、薪ストーブやペレットストーブなどを使い、外部から購入し消費するだけだった灯油から、地域住民が生産から販売、消費までできる薪やペレットに移行できれば、地域の経済循環は高まります。
そのため、「木質バイオマスエネルギーを利用促進せよ」という提言をしました。
答弁3 まずはニーズの把握
「木質バイオマスエネルギーを利用促進せよ」という提言に対しての答弁は、以下のようなものでした。
「隣の五ヶ瀬町では薪ストーブの導入に補助を出しているが、あまり普及が進んでいないと聞いている。
まずは、どれだけのニーズがあるのかについて、把握したうえで検討したい。」
この答弁に対して、私は追加的に、「なぜ経済循環の向上に取り組むのかの啓発とあわせて取り組んでいただきたい」と付け加えました。
まとめ
これまでの行政は、どれだけの補助金を引っ張って来るのか、どれだけ多くの観光客に来てもらうのか、など、いかに外からお金や人を引っ張って来るかという考えが強かったと思います。
しかし、同時に、地域内で経済循環する体制でなければ、せっかく入ってきたお金もすぐに町外に漏れ出てしまいます。
そのため、地域における経済循環を高める必要があるわけです。
町長はじめ執行部に、経済循環の重要性を認知してもらえたという点では成果はありましたが、あとは、どれだけ施策レベルに落とし込めるのか、今後に期待したいと思います。