こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今回の記事では、高千穂町のみならず、日之影町、五ヶ瀬町にもかかわりのある、西臼杵郡3町公立病院の統合再編に向けた動きについて、まとめたいと思います。
令和3年4月 統合再編準備室 開設
まずは、多くの人が読まれたであろう、この新聞記事をご覧ください。
要約すると、西臼杵郡3町立病院の統合再編に向けた議論。準備を進めるために、高千穂町役場内に、統合再編準備室を設置したという内容です。
以下で、なぜ、3町の病院を統合再編しようという動きがあるのかについて、説明したいと思います。
病床数と利用率
西臼杵郡の一般病床は、高千穂が60床、日之影が50床、五ヶ瀬が36床、合計で146床あります。
これは、人口当たりで見た際、全国平均とほぼ同じ水準となっています。
しかし、利用率は決して高くなく、高千穂で88%、日之影で46%、五ヶ瀬で53%となっています(利用率は令和元年度のもの)。
利用率が低い要因は様々にありますが、そのひとつが、外科医不足により手術ができないことがあげられます。
高千穂では平成29年を最後に、外科手術はほとんどなく、整形外科、眼科の手術がほとんどです。
日之影、五ヶ瀬は、近年では手術の実績がありません。
こうしたことから、病床数は全国平均の数があるものの、利用率は高くありません。
財政負担
こうした表現は不適切かもしれませんが、入院患者が多ければ多いほど、病院にお金がはいります。
逆に、入院患者が少なければ、病院に入るお金も少なくなります。
病床利用率が低い現在の西臼杵郡の状況は、病院の経営的には良くない状況ということができます。
では、その穴埋めをどうしているのかというと、それぞれの自治体から病院にお金を入れているのです。
金額は、令和2年の時点で、3町合わせて約5億7000万円になります。
さらに、自治体から病院に入れるお金の額は、今後さらに増加することが予想されます。
減少する人口
病院の利用者は高齢者が多いですが、西臼杵郡の高齢者人口はすでにピークを迎えており、今後はどんどん減少していきます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、西臼杵郡の高齢者人口は、2020年の8189人から、2045年には5368人に減少する予想となっています。
減少する常勤医師
減少するのは人口だけではありません。
医師の数も減少が予想されています。
当然、医師も人間ですので、年齢を重ねていけば、いずれは定年退職することになるからです。
令和2年度で14人いる常勤医師は、令和27(2045)年には、4人になるのではないかという予測もされています。
もしそうなれば、非常勤の医師が増えるわけですが、非常勤医師は病院経営の視点でいえば、割高になります。
つまり、財政の負担がより大きくなる可能性があるのです。
国・県の動き
こうした状況は西臼杵郡だけの課題ではなく、全国的な課題となっています。
そのため、国も動いており、都道府県に対し、2025年を見据えた医療体制づくりを求めており、それを受け県は各地域ごとでそうした協議を進めています。
ちなみに、宮崎県内は7区域において、そうした協議がされており、高千穂町を含めた西臼杵郡は、「延岡西臼杵地域医療構想調整会議」に入っています。
その中で、西臼杵郡3町公立病院の統合再編について、平成31年ころより検討が重ねられてきました。
そうした経緯があり、新聞記事にもある、令和2年6月の3町長の協議となりました。
統合するメリットは
統合のメリットは、人材や資源を最適に配置できるようになることです。
現状は、3つの病院に、医師などの人材や医療機器が分散しています。
人材を最適に配置することで、それまでできなかった手術の受け入れができる可能性もあります。
また、現在は、3つの病院でCTなどの高額の医療機器を持っていますが、今後は1つの病院がもっていればよいのではという考えもできるようになります。
こうすることで、コストを抑えつつ、医療サービスを維持・提供できるようになり、病床利用率が上がり、財政負担を軽減できることがメリットとしてあげられます。
最終結論は10月頃
一方で、当然デメリットもあり、例えば、これまで高千穂で対応できていたことが、日之影や五ヶ瀬でなければ対応できなくなったり、その逆のパターンも考えられます。
新聞記事にあるとおり、今年の10月には最終的な結論が出ることになっています。
3町にとって、よりよい結論となるように、しっかりと協議を進めていただきたいと思います。
では、今回はこれで失礼します。