板倉てつお 公式ブログ

地方自治が問われた子育て支援10万円給付について

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

今回のブログでは、年末に、国会内でも非常に議論された、子育て世帯への臨時特別給付金について、下記の議会だよりの記事もありますが、もう少し詳しくまとめたいと思います。

出典:議会だよりたかちほNo.113

国の制度設計は現金5万円とクーポン5万円分

今回の給付は、国が制度の概要を設計し、基本的には財源も国が100%用意したものです。

制度の概要は下記のとおりです。

■対象:0歳から高校3年生(平成15年4月2日から令和4年3月31日までの間に出生した児童、ただし所得制限以上の世帯は除く)

■実施方法:自治体が地域の実情に応じて以下から選択し、実施。
①先行給付金(5万円)と追加給付金(5万円)の組合せ
②先行給付金(5万円)とクーポン給付(5万円相当)の組合せ
③一括給付金(10万円)

高千穂町は一括給付

国の制度設計は、当初、②の先行給付金(5万円)とクーポン給付(5万円相当)の組合せを基本としていました。

しかし、ご存知の通り、クーポン給付について、多くの疑問の声が上がりました。
クーポン給付となると、それだけ時間がかかります。
それよりも、現金で、迅速に支援するほうがよいという意見が多かったように思います。

そして、高千穂町ではどのように給付するのか、町長はじめ執行部で検討した結果、③の一括給付金とすると決定されました。

申請の必要があるケースも

実際にどのように給付されるのかというと、何もしなくても給付されるケースと、申請しなければ給付されないケースがあります。

まず、15歳以下の子どもがいて、ですでに児童手当を受給している世帯については、申請の必要はなく、児童手当が振り込まれる口座に、令和3年中に振り込みが完了しています。

また、児童手当受給者と同居している16歳以上18歳以下の子どもへの給付も上記と同様で、申請の必要はなく、児童手当が振り込まれる口座に、令和3年中に振り込まれています。

一方、児童手当受給者がいない世帯(その世帯の子どもが16歳以上18歳以下の子どもだけ、あるいは令和3年9月以降に生まれた新生児)の場合、申請が必要となります。

このように、場合によっては、申請の必要があるケースもありますので、お気を付けください。

所得制限について議論あり

今回の給付金には、クーポンのほかに、所得制限についても議論がありました。

高千穂町議会で本件について審議した令和3年12月17日以前において、いくつかの自治体では、親の所得に関係なく、すべての子どもを支援するべきとして、自治体独自に財源を確保し、所得制限を撤廃するところもありました。

では、高千穂町はどうかというと、国の制度設計通りに、所得制限を設けるということでした。

私の意見はというと、今回の政策の目的は子どもの支援であるため、親の収入で支援の有無を分けるべきではないという考えを持っていました。

そのため、議場内で次のような質疑をしました。

Q.年内に給付する15歳以下について、所得制限で対象外となったのは何人か。
A.14世帯33人分が対象外となります。

Q.仮に33人に10万円を給付しても330万円である。高千穂の未来を担う子どもたちに対し、町独自に財源を確保し、所得に関係なく支援してもよいのでは。
A.所得制限について担当課で検討したが、今回は国と同じ考えでやるべきだろうという結論に達した。

他の市町村はどうした

支給方法と所得制限について、宮崎県内の他の自治体がどうしたのかも気になるところです。

まず、支給方法ですが、全自治体が、全額現金での給付を選択しました。

次に所得制限ですが、日之影町、新富町、諸塚村が所得制限を撤廃しました。
日之影町と諸塚村は10万円、新富町は5万円とのことです。

出典:宮崎日日新聞(2021年12月18日)

なお、上の新聞報道の後に、宮崎市においても、所得制限が撤廃されています。

出典:宮崎日日新聞(2021年12月25日)(一部画像加工)


また、全国的に見ても、クーポンを選択した自治体はかなり少数派だったようです。
新聞の報道によると、1700ある自治体のうち、クーポンを選択したのは、1桁にとどまったそうです。

出典:宮崎日日新聞(2022年1月14日)


地方自治の意義

今回の件は、改めて、地方自治の意義に気づかされることになったと思います。

国が大枠の制度設計をしたとしても、最終的に手足を動かし、実行するのは市町村という事務は非常に多いです。

国の制度をどのように活用すれば、最大限の住民の福祉につながるのかを考え、最終決定をするのは、市町村です。

今回のように、多くの市町村において、国の方針とは異なる方法で実施されたということは、地方自治が生きている証拠だと思います。

普段はあまり注目されない市町村の政治ですが、今回のように市町村の裁量によるところも多いので、日ごろから関心を持っていただくと、政治に関わる一人としては嬉しいです。

それでは、今回はこれで失礼します。

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