板倉てつお 公式ブログ

鉄道公園総工費は当初の想定の倍以上に

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

今回は、現在、高千穂町がすすめている、高千穂鉄道跡地公園化事業について、まとめたいと思います。

これまでのおさらい

まずは、これまでの経過をまとめたいと思います。

・令和元年
9月議会において、町長が「高千穂鉄道跡地公園化構想」を発表。
構想の概要は、以下の通り。
(1)高千穂鉄橋を歩いて渡れる施設に改修する
(2)鉄橋周辺に駐車場や休憩所などを設ける
(3)概算の事業費が約10億円
(4)年間30万人の来場と1億3000万円の売り上げを見込む

・令和2年
漠然としていた構想について、整備するうえでの懸念事項と課題解決のための方針を、「高千穂鉄道跡地公園化基本構想」として取りまとめる。

・令和3年
「基本構想」をもとに、整備内容の再検討をし、導入すべき機能や規模を整理し、「高千穂鉄道跡地公園化基本計画」を策定。

「基本計画」に基づき、諸施設の位置、規模を平面図としてまとめる「基本設計」を作成。

さらに、「民間活力導入可能性調査」を行い、従来の公共事業だけでなく、官民連携事業としての整備についても検討する。

4年度予算審査前に、3年度の詳細な事業結果の報告なし

上記のように、当初は漠然としていた鉄道跡地公園化事業の内容が、徐々に整理されつつあります。

また、引き続き、令和4年度も鉄道跡地公園化事業の予算が組まれていました。
予算の金額としては、事業者選定支援業務委託料2797万円を含めた、2843万円の予算となっていました。

当然、令和4年度の予算審査に当たり、3年度に取り組んだ事業の詳細な結果が気になります。
しかし、3月議会が始まっても、3年度の事業の報告がありませんでした。

そのため、下記のような質疑をしました。
ちなみに、この質疑をしているのは、3月4日時点ということを、頭に入れたうえでお読みください。

議会だよりたかちほNo.114より

Q.3年度の鉄道跡地公園化事業における、基本計画・基本設計策定の委託事業は、事業終了のめどがついたということでよいか?
A.委託事業が3月31日までの履行ということで、それまでには終了する予定である。

Q.新年度予算に鉄道跡地公園化事業として、新たに2797万円の委託費があるが、これについての予算審査をするためにも、3年度の事業報告をしていただきたいが、可能か。
A.大まかな数字となるが、概算で報告できるものは提出したい。

(正確な会議録ではなく、わかりやすい表現に直しています。そのため、議会だよりの表現とも、若干、異なっています。)

予算審査委員会に提出された概算資料

以上ようなやり取りを経て、やっと令和3年度に取り組んだ基本計画における数字について、あくまで概算という前置きのもと、議会に示されました。

提出された内容が下記になります。

●県道7号周辺エリア

(工事内容)
駐車場など 

(概算工事費)
4億8203万円

(工事費のうち町負担)
1億8092万円(ただし、国交省との協議次第)

(需要予測)
公園全体の入込客数を年間20万8000人と想定。
そのうち、過去の観光統計より、83.77%にあたる、17万4243人が乗用車で来ると試算。
観光統計より、1台あたり平均乗車人数が、2.12人。
つまり、年間に、174,243÷2.12=82,190台の乗用車の利用が見込まれる。
駐車場料金を500円とした場合、年間の駐車場収入は、82,190×500=4109万5500円。
5年で、4109万5500円×5=2億547万円となり、初期投資を回収。

●天岩戸駅周辺および高千穂鉄橋

(工事内容)
鉄橋の補修・歩廊化・耐震補強など

(概算工事費)
12億7141万円

(工事費のうち町負担)
民間の参入が現時点では不明なため、予測不可能。

(需要予測)
鉄橋の歩廊利用の見込みを10万7000人と想定。
歩廊利用料を1人1000円とした場合、年間の歩廊利用収入は
10万7000人×1000円=1億700万円
12年で、1億700万円×12=12億8400万円となり、初期投資を回収。
また、このエリアに民間も参入すれば、町負担はより軽くなる。

●県道7号から高千穂鉄橋

現在の旧天岩戸駅への進入路が、集落を通り抜ける道しかなく、多数の観光客が出入りするのは望ましくありません。
そのため、3年度に策定した「高千穂鉄道跡地公園化基本計画」では、県道7号から高千穂鉄橋へ通じる新たな道と橋梁を整備する必要があるとしています。

担当者からの提出資料を一部加工

(工事内容)
県道7号から高千穂鉄橋までの新たな進入路の整備

(概算工事費)
9億4631万円

(工事費のうち町負担)
補助率40%の、都市再生整備計画事業として整備した場合、
9億4631万円×0.6=5億6778万円が町の負担となります。

(需要予測)
この整備箇所については、利用料金の徴収を予定していないため、初期投資の回収のめどについては、言及せず。

上記の概算報告についての私見

あくまで概算の数字で、最終的な数字ではないとはいえ、いろいろと驚かされる内容ばかりでした。
具体的には、次の2点です。

・当初の想定の倍以上の工事費
まずは、工事費ですが、最初に令和元年に構想を発表した際の概算の工事費は、約10億円としていました。
それが、今回の報告の数字を全部足すと、26億9975万円にもなります。

このうち、実際の町の負担がどうなるかは、まだ未確定な部分が多いので何とも言えませんが、総工費が当初の想定よりもかなり上回ることには間違いないと思います。

・利用料金の想定が2倍以上に変更

次に利用料金についてです。
最初に令和元年に構想を発表した際は、鉄橋の歩廊利用料金の想定として、1人りあたり500円としていました。
これは、成功事例である、九重夢大吊橋にあわせた料金だと思います。
しかし、今回の報告では、高千穂鉄橋の歩廊の利用料金を、1人あたり1000円と想定していました。

さらに、駐車場の利用料金として別途500円徴収する可能性も示唆しています。
ちなみに、九重夢大吊橋は、駐車場利用は無料だそうです。

当初の利用料金1人あたり500円という想定からすると、かなり利用料金の想定が2倍以上になっています。

令和4年の取り組みは

令和4年度の予算において、鉄道跡地公園化事業に、2843万円の予算が充てられています。
内訳の主なものは、事業者選定支援業務委託料の2797万円です。

委託の内容としては、議会だよりにもあるとおりですが、現在、町は民間の資金、経営能力を活用し、効率的・効果的に事業を進める官民連携事業として、鉄道跡地公園化事業を進めようとしています。
それに向け、町と民間の役割分担を整理するなどし、民間参入の可能性を詳細に検討します。
そして、その後に、事業者の選定をするまでが、委託の内容です。

議会だよりたかちほNo.114より

議会の付帯意見

議会では、議案を可決する際に、付帯意見を提出することがあります。
付帯意見とは、「賛成はするものの、こうした配慮はしてくださいよ」という、条件付きの賛成のようなものです。

今回の議会では、鉄道跡地公園化事業についての付帯意見として、次のような意見を提出しています。

「鉄道跡地公園化事業が、持続可能な事業になるかどうか、詳細な収支計画を策定後、議会へ説明をするとともに、事業者の入札・契約についても、議会の同意を得た後に行うこと」

令和4年度が最大のヤマ場

まとめると、高千穂鉄道跡地公園化事業の総工事費が、26億円以上になる可能性が出てきました。
民間の参入により、町の負担は減るとはいえ、構想を公表した当初とくらべると、倍以上です。

現時点で、民間が参入するかどうかや、参入するとして、どの程度、参入するのかがわかりません。
そのため、高千穂町の負担がどの程度になるのかもわかりません。

もし本当に民間も参入するなら、採算がとれる可能性が高いから参入するわけで、そのあたりの民間視点をふまえた事業計画がどのようになるのかも、まだわかりません。
令和4年度の取り組みで、このあたりがより明確になると思います。

そうした意味で、鉄道跡地公園化事業は、令和4年度が最大のヤマ場になりそうです。

今後も、新たな情報が入れば、また、発信したいと思います。
今回はこれで失礼します。

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