こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今回は、議会だよりで赤字のピンチとして紹介した、高千穂町の上水道事業について、まとめたいと思います。(※正確には水道事業といいますが、ここでは、簡易水道、下水道との混同を避けるために、上水道事業と記載します)
上水道事業会計は企業会計
高千穂町では、町が実施する事業についての経費を、「一般会計」、「特別会計」、「企業会計」に大別して計上しています。
「高千穂町の財政状況が厳しい」という場合、高千穂町の一般会計が厳しいという意味のことがほとんどで、最も基本的な事業を行うための会計です。
一方で、特別会計は、国民健康保険や介護保険など、特定の目的と収入がある事業の会計です。
最後の企業会計は、特別会計のように、特定の目的と収入がある事業のうち、公営企業として、民間企業と似た経理を行っており、高千穂町の場合、町立病院や上水道が、企業会計です。
法律により、病院や上水道の事業をする際は、企業会計でするようにと定められているのです。
企業会計の特徴
企業会計の特徴は、原則として、事業の収入をもって必要な経費に充てる独立採算制をとることです。
町の財政に詳しい人であれば、「町病院は多くのお金を一般会計から入れているじゃないか」と思われるかもしれません。
確かにその通りです。
原則、独立採算制ですが、一部については、法律などの定める範囲内で、一般会計からの繰入が認められています。
しかし、病院ではある程度の額を繰り入れることが認められていますが、上水道事業については、あまり認められていないようです。
その理由の一つとして、病院の場合、自治体は料金を決めることができないが、水道の場合、料金を自治体が自由に決めることができるから、ということがあるようです。
つまり、上水道事業は、病院事業に比べ、より高いレベルで独立採算を実現しなければならない事業となっています。
減少する人口と収益
上水道事業は、昭和25年に、1万人の給水人口を想定し計画され、昭和29年に竣工しました。
では、実際の給水人口はというと、昭和63年の7,648人をピークにその後は減少し、令和2年度の決算時において、5,781人となっています。
給水人口が減少すれば、水道の使用量は減少するため、上水道事業としての収益は減少することになります。
進む施設の老朽化
現在、課題となっているのが、水道施設の老朽化です。
水道管の法定耐用年数は40年となっていて、高千穂町の上水道の水道管のうち、実に4割の水道管が敷設後40年を超えています。
ちなみに、全国の平均値は、16%となっているので、他の自治体の上水道事業よりも、老朽化が進んでいることがわかります。
法定耐用年数を超えると、使用できなくなるわけではありませんが、漏水などのリスクが高くなります。
これらの老朽化した水道施設の更新をしていく必要があります。
更新に必要な費用は
では、施設の更新にどれだけの費用がかかるのかが気になるところです。
もしも、法定耐用年数の40年で更新するとなると、今後40年で約43億円がかかると見られています。
実際には、40年を超えても使用を続け、町の基準で更新していくわけですが、それでも、今後40年間で約30億円、毎年、7900万円の費用がかかると見られています。
料金改定を視野に検討開始
まとめると、収入は減少しているが、費用は増加するということになります。
こうした現状の課題を解決するため、高千穂町は今年度、管路更新計画を策定する予定で、さらに、その計画を実現するために必要な費用を確保するために、水道料金の見直しを検討するとしています。
水道料金は、平成10年に改定が行われてから、今日まで改定されていません。
その間、消費税や電気料金などは、着実に上がっているわけですので、そうした意味からも、料金改定は必要だと思います。
2022年4月1日の宮日新聞で、日南市が水道料金を平均26%値上げすることを決めたという記事がありました。
おそらく、日南市も同様の背景があったのだと思います。
高千穂町の値上げがどれほどのものになるかはまだわかりませんが、日南市と同程度の値上げは仕方がないかなと思います。
また、新しい情報が出てきましたら、共有させていただきます。
今回はこれで失礼します。