板倉てつお 公式ブログ

ごみ処理費用2億8575万円について考える

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

今回は、私達にとても身近な、ごみのことをまとめてみたいと思います。

ごみ処理は西臼杵3町で担当

私達が生活するうえで、必ずごみが出ます。
ごみを回収し、処分するのは行政の仕事のひとつです。

ただし、ごみ処理については、全国的に行政の広域化が進んでいます。
例えば、高千穂町では西臼杵3町で構成する、「西臼杵広域行政事務組合(以下、西臼杵広域行政)」で、ごみ処理に取り組んでいます。

西臼杵広域行政の議会

高千穂町の予算は、高千穂町議会で審議します。
同様に、西臼杵広域行政の予算は、「西臼杵広域行政事務組合議会」という議会があり、そこで審議しています。

この西臼杵広域行政事務組合議会の議員は、西臼杵3町の議員から選出され、高千穂町から4名、日之影町から3名、五ヶ瀬町から3名の、合計10名の議員で構成されています。
そして、私は令和3年9月30日から、西臼杵広域行政事務組合議会の議員に選出されています。

ごみ処理費用は2億8575万円

西臼杵3町で、ごみ処理にどれだけの予算が使われているのかという結論からお伝えすると、令和4年度の当初予算で、2億8575万円となっています。
(以下、金額は基本的に令和4年度当初予算の金額です。)

費用の内訳にはさまざまありますが、各種委託料が主なものです。

例えば、金額の大きいもので言うと、ごみの回収業務を西臼杵衛生公社などの業者に委託しているのですが、その金額が、1億799万円。

次に、現在、西臼杵郡にはごみの焼却場がないことから、延岡市の焼却場に委託をしていますが、その金額が6778万円です。
こんなに委託費がかかるなら、西臼杵郡内に焼却場を建設してはどうかと思うかもしれませんが、現在の様々な基準を満たす焼却場をつくるとなると、数十億円という費用が必要になるそうです。
そうなると、現在の委託費以上の負担となるため、西臼杵郡内に焼却場を建設せず、延岡市へ委託をしているのが現状です。
また、延岡市としても、人口が減少傾向にあることから、西臼杵郡のごみの受け入れを歓迎しているそうです。

委託費の大きいものでは、その他に、延岡の焼却場より出た灰の最終処分を小林市の専門業者に委託しており、その金額が、1409万円。

そして、ごみ袋の作成に、970万円がかかっています。

西臼杵3町から分担金2億2181万円

次に、ごみ処理の費用をどのように捻出しているのかを見てみたいと思います。

最も大きいのは、西臼杵3町の分担金です。
ごみ処理費の分担金として、高千穂町から1億3234万円、日之影町から4673万円、五ヶ瀬町から4273万円、合計で2億2181万円となっています。

この3町の分担の割合は、それぞれのごみの搬入量などにより決められています。

ごみ袋販売収入 5354万円

次に、ごみ袋販売による収入が、5354万円です。

例えば、最もよく使用されている、燃えるゴミ(大)であれば、1枚当たり70円となっており、令和2年度の実績では、燃えるゴミ(大)の袋は、371,320枚販売されたそうです。

つまり、燃えるゴミ(大)だけで、70円×371,320枚=約2599万円の収入となっています。

金属・古紙など販売収入 1036万円

次に、アルミ缶やスチール缶などの金属類や、古紙の販売による収入が、1036万円です。

私達がごみとして出す空き缶などが、こうして収入となり、ごみ処理の財政を支えているということは、なんだか不思議な感じがしますね。

以上の、分担金、ごみ袋販売収入、金属・古紙など販売収入を合計すると、2億8571万円となり、おおよそ、ごみ処理の経費と一致します。

西臼杵のごみ袋の料金は高いか

「西臼杵のごみ袋は高い」という声を聞くことがあります。
私自身が調査していないのですが、聞くところによると、延岡や熊本と比べると、ごみ袋の単価は高いようです。

しかし、ごみ処理の費用は、必要なだけ、必ずかかります。
もし仮に、ごみ袋の単価を下げると、ごみ袋販売収入が減るわけですので、それを補うために、3町からの分担金を増やすことになります。

当然、そのしわ寄せは、それぞれの町の一般行政に来ることになります。
一般行政において、ごみ処理費用の負担が大きくなるということは、場合によっては、不平等が起きる可能性があります。

例えば、極端な例ですが、ごみをほとんど出さないようなライフスタイルをしている人と、非常に多くのごみをだす人がいたとします。

もし、ごみ袋の料金を安くした場合、多くのごみを出す人からすると、ごみ袋を購入する金額が下がるわけですので負担が減ることになります。

しかし、ごみを出さない人の場合、ごみ袋の料金を安くしたために、一般行政の予算が減り、場合によっては行政サービスの縮小を招く可能性もあり、そうなると、思わぬデメリットを被ることになるかもしれません。

そうなると、ごみを出す人が得をして、ごみを出さない人が損をすることになってしまいます。

このようにごみを出す人が得をして、ごみを出さない人が損をするようなことにならないよう、西臼杵広域行政では、ごみ処理にかかる費用は、ごみを出す人が、より負担するという考え方で、現在の価格としているとのことです。

レジ袋式ごみ袋は小さい

ご存知の方も多いと思いますが、令和2年の4月から、従来の平版式ごみ袋から、取っ手のついたレジ袋式ごみ袋に仕様が変更されています。

これも私は調べていないので、事実かどうかの確認ができていませんが、他地域のごみ袋は、レジ袋式がほとんどとのことです。
そこで、西臼杵もレジ袋式のごみ袋をという声があり、仕様が変更されました。

しかし、変更後、「レジ袋式のごみ袋は平版式よりも小さく、ごみが以前より入らない」といった声を聞くようになりました。
私も、あくまで個人的な意見として、確かに賛同できるところもあります。

しかし、西臼杵広域行政によると、平版式からレジ袋式に変更したものの、設計上の容量に変更はないとのことです。
むしろ、燃ええるごみ(小)や燃えないごみ、あきびんなどの袋は、容量が増加しています。

ですので、レジ袋式のごみ袋が小さいと感じる方は、これまでは、平版式のごみ袋に、設計以上のごみを入れていたということになるようです。

レジ袋式ごみ袋はすぐ破れる

また別の声として、「レジ袋式ごみ袋はすぐに破れる」という声も聞くことがあります。
確かに、この意見にも、私も共感できるところがあります。

ごみ袋を破れにくくするためには、ごみ袋の厚みを厚くするしかありません。
しかし、当然、厚みを増すと、ごみ袋の作成コストがあがります。
どの程度上がるのかを、西臼杵広域行政が試算した資料がありますので、共有したいと思います。

まず、現在のごみ袋の厚みですが、基本的には0.03㎜で、燃えないごみ・あきびんの袋だけ、0.04㎜です。
もし破れにくくするために、全ての袋について、厚みを0.04㎜にするとした場合、ごみ袋の作成費用が、年間で289万円ほど高くなるそうです。

そうした場合、この289万円をどのように捻出するかが問題となってきます。
ごみ袋の販売価格を上げるのか、あるいは、一般行政からの分担金を増やすのか、しかありません。

西臼杵広域行政としては、「まだ変更してからの年月が浅いため、もうしばらく、住民の声を聞きたい」としており、袋を厚くするかどうかについては、保留となっています。

まとめ

誰の言葉かは知りませんが、「政治に無関心な人はいるが、政治と無関係の人はいない」という言葉があります。

今回のごみ処理については本当にそうで、人が生活すれば必ずごみが出ます。
そして、そのごみをどのように処理するのか、また、処理にかかる費用をどのように捻出するのかという意思決定をすることは、まさに政治です。

政治にあまり興味がないという方も、生活に身近なごみを通して、政治に関心を持っていただければ嬉しく思います。

では、今回はこれで失礼します。

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