こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
改めて議会の制度について説明しますと、町長が議案として、町のお金の使い道や町のルールについての案を議会に提出します。
議案のそれぞれについて議会は審議し、最終的に可決か否決かを決めます。
しかし、基本的には議案は可決されます。
なぜなら、議会に否決されるような議案を、町長は提出しないからです。
ただ、先の12月議会では、私の記憶に誤りがなければ、私が議員になってから初めて、町長が提出した議案が否決されるということがありました。
今回の記事では、この件についてまとめたいと思います。
人事院勧告に基づく3つの議案
議会が否決したのは、人事院勧告に基づく議案のうちのひとつです。
まずは、人事院勧告について、説明をしたいと思います。
民間企業の労働者には、ストライキなどを含めて、自らの給与など勤務条件の改定について、会社側と交渉が可能です。
しかし、公務員はそうした行為が禁止されています。
その代わり、第三者機関の人事院が、国家公務員と民間企業の給与を比較し、両者が同じ給与水準になるように、公務員の給与を上げるべきとか、下げるべきといった勧告を毎年しています。
そして、令和4年度の人事院勧告では、公務員の給与は上げるべきという勧告が出されました。
それに基づき、高千穂町でも、3つの議案が議会に提出されました。
その3つとは、
・職員給与を引き上げる議案
・議員のボーナスを引き上げる議案
・町長・副町長・教育長のボーナスを引き上げる議案
です。
議員のボーナス引き上げを否決
結論から言うと、人事院勧告に基づく3つの議案のうち、「議員のボーナスを引き上げる議案」について、否決しました。
議案の内容について、もう少し詳しく説明します。
議案の内容は、人事院勧告に基づき、町長や議員など、特別職のボーナスの支給月数を0.05月引き上げるべきという内容です。
議員の場合、議長や副議長などで少し違いはあるものの、金額にしてひとりあたり年間で、約1万3000円を引き上げるべきというものです。
すでにお伝えした通り、最終的にこの議案は否決となったわけですが、そこに至るまでに、賛成・反対の立場の議員により、活発な討論がありました。
白熱した討論
討論では、賛成の立場の議員、反対の立場の議員が、順番に意見を述べ合います。
今回の討論では、それぞれの立場から2名ずつの議員が意見を述べました。
それぞれ、どのような意見がでたのか紹介したいと思います。
・賛成の立場の議員の意見
「先日の国会で、賃上げ促進のための中小企業支援の補正予算が組まれており、国が賃上げを要求している。今はそういう時代であるため、引き上げには賛成。」
「人事院勧告は、いろんな会社の平均を調べて、民間と公務員で不公平がないよう、金額を提示しているものであるため、引き上げには賛成。」
「若い人に議員をやりたいと思ってもらうためにも、引き上げは賛成。」
・反対の立場の議員の意見
「コロナの長期化、物価の高騰、台風14号の被災など、町内の厳しい状況が続いていることを考えると、引き上げは反対。」
「議員は選挙で選ばれた住民の代表である。そのため、住民の立場で考えると、引き上げには反対。」
採決では賛成5、反対7
討論の後、採決を行います。
採決の結果は、賛成が5人、反対が7人で、賛成少数となり、否決しました。
最後に、私はどちら側だったのかについてですが、私は反対の立場でした。
理由としては、討論で出た反対の立場の意見とほぼ同様です。
付け加えていうなら、人事院勧告は全国から1万1800社、45万人の給与を調査し、国家公務員の給与と比較した結果に基づくものです。
日本全国の企業を調べるため、高千穂町に限った状況とは異なる部分も多くあることと思います。
そして、現在の高千穂町の現状を見る限り、人事院勧告が示す「民間は公務員より給与が上がっている」という状況とは異なるのではないかと思います。
一日も早く、コロナ禍が収束し、物価が安定し、台風災害からの復旧がなされることを願って、今回の記事を終わりにします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。