板倉てつお 公式ブログ

鉄道公園に待った 町長提出予算を議会が減額修正

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

すでに新聞やテレビなどで報道されているとおり、3月議会では、町長が提案した令和5年度当初予算の原案から、鉄道跡地公園化事業に関連する予算を削除し、減額した修正案を可決するということがありました。

今回の記事では、この件について、詳細をまとめたいと思います。

予算を決める過程における首長と議会の役割

まずは、そもそもの、予算を決める過程において、町長などの首長と議会の役割について説明します。

予算とは、1年間のお金の使い道です。
1年間のお金の使い道についての案をつくるのは、町長などの首長の役割です。
予算編成権とも言われ、この権限は首長側にあります。
予算案ができれば、議会に提出されます。

議会は、予算案を審議し、最終的に賛成か反対かの多数決で、可決か否決を決めます。
この権限を議決権ともいい、この権限は議会側にあります。

では、議会は、首長から提出された予算案について、賛成か反対か、どちらかしかできないのかというとそうではなく、予算を「修正」するという第3の道があります。

この権限をを修正権といいます。。
但し、無制限に修正できるわけではなく、首長の予算編成権を侵さない範囲に限られます。

原案から7299万円を減額修正

3月議会で町長から議会に提出された令和5年度一般会計予算案の原案は、歳入歳出の金額が、98億6400万円でした。

しかし、議会は、高千穂鉄道跡地公園化事業に関連する4項目の事業、金額にして計7299万円について「町民の理解が不十分で、予算執行は時期尚早」である考えました。

そこで、予算の修正権を行使し、4項目、計7299万円を削除し減額した修正案を可決しました。

なお、予算の総額は、減額されたことで、97億9100万円となっています。

次に、議会が削除した4項目とは、どのような内容のものだったのかについて、説明します。

削除した項目1 事業者を選定する費用 1627万円

町は鉄道跡地公園化の整備から運営について、町単独で実施すると財政負担が大きすぎるため、財政負担を軽減するために、民間事業者が出資・運営するPFI(Private-Finance-Initiative)方式で進めようと考えています。

PFI方式とは、公共事業を実施する方法のひとつで、民間の資金と経営能力を活用する方法です。
事業コストの削減や、質の高い公共サービスの提供などが期待できます。

町は今後2カ年をかけ、鉄道跡地公園化に参入してくれる民間事業者を募り、決定する予定です。

この予算は民間事業者が決まるまでの過程をサポートしてくれるコンサルタント会社へ支払う委託料です。

削除した項目2 土地価格の鑑定をする予算 267万円

鉄道公園として整備を予定している区域には民有地もあるため、もし本当に鉄道公園として整備する際には、民有地を町が買い取る必要があります。

地権者と交渉する際に、正確な買い取り価格を提示する必要があるため、土地価格の鑑定をする予算です。

削除した項目3 立木価格を算出する予算 904万円

土地と同様に、鉄道公園として整備を予定している区域には立木もあり、もし本当に鉄道公園として整備する際には、立木を町が買い取る必要があります。

その正確な価格を算出するための予算です。

削除した項目4 新設進入路の基礎設計 4500万円

町が策定した鉄道跡地公園化基本計画では、鉄道公園の需要目標として、20万8000人を見込んでいます。

これだけの人が高千穂鉄橋を往来するとなると、既存の集落内の道路はふさわしくありません。
そのため、県道7号から高千穂鉄橋への新たな進入路を、橋梁建設を含めて整備する計画があります。

この予算は、新たな進入路の基本設計をするための予算です。

議会における審議の経過

次に、どのような審議の経過をたどって、原案の予算から4項目を削除したのかについて説明したいと思います。

予算を審議する際「予算審査特別委員会」をつくり、そこで審査をします。
この委員会は、3日間かけて、各課の事業について説明を受け、不明点を質疑します。

その後、通常であれば、賛成か反対かの採決が行われるのですが、今回の3月議会では、採決前に私ともう1名の議員から、原案を減額する修正案の提出がありました。
減額の内容が、先述した4項目です。

修正案が出されたことで、今度は、修正案について、賛成か反対かの討議となりました。

削除に賛成の議員の意見として、主なものは次のとおりです。

「2月に住民向け報告会が行われたばかりで、町民の理解が不十分である」

「町民の間で賛否があり、このまま推進すると町が二分する」

「町民の理解にもっと注力してから進めては」

「優先すべき事業は他にもある」

一方、項目1の「事業者を選定する予算」については、削除に反対の意見もあり、主なものは次のとおりです。

「賛否の判断材料が現状のままになる」

「賛成の町民もいる」

討議した後、4項目それぞれについて、削除に賛成か否かの採決を行いまいた。

項目1つにいては一部に削除に反対の議員もいましたが、削除に賛成の議員が多数でした。 
2~4については、全議員が削除に賛成でした。
そのため、結論として、予算案の原案から、4項目を削除し減額する修正案が可決されました。

鉄道跡地公園化は今後どうなる

3月議会において、鉄道跡地公園化に関連する4項目の予算を議会が削除したからといって、鉄道公園の計画が白紙になったわけではありません。

町としては、鉄道跡地公園化を推進したい考えであることに変わりありません。

今後は、議会から指摘のあった「町民の理解が不十分である」「町民の間で賛否がある」といった点について、解消することが求められます。

今の決断が重要

民間事業者が資金を出すPFI方式とはいえ、公共事業であることに違いありません。そのため、町民の皆様の理解・賛成は必要不可欠であると考えます。

また、仮に民間事業者が決まってから、鉄道公園を整備しないと方針転換した場合、民間事業者から町が訴えられるということになるそうです(担当課長の説明より)。

つまり、現段階で、鉄道公園について、するのか、しないのかを決断する必要があるということになります。

決断をするのは、町長でも議会でもなく、町民の皆様であると考えます。

ぜひ、町民の皆様も鉄道公園のことに関心を持っていただき、ご自身の意見を町に届けていただければと思います。

(役場ロビーには意見を募集する意見箱が設置されています。)

では、今回はこれで失礼します。

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