板倉てつお 公式ブログ

ふれあいバス値上げを否決

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

3月議会では、高千穂町が運営しているバス事業の「ふれあいバス」について、全区間100円値上げをするという議案が、町長から出されました。

しかし、結論から言えば、この議案は賛成少数で否決となりました。

今回の記事では、この件について詳細をまとめたいと思います。

ふれあいバスについて

ふれあいバスは、平成16年から高千穂町が開始したバス事業です。

町がバス事業に取り組む目的は、「町民の交通手段の確保」をすることによる「地域の活性化、公共の福祉の増進」であると、「高千穂町バス事業の設置等に関する条例」に明記されています。

開始当初は幹線路線が2路線(河内線、岩戸線)と、枝線路線が6路線(田原線、五ヶ所線、向山(水の口)線、日出線、日向線、押方線)でした。

その後、住民の要望などを受け、枝線路線を増やしていき、令和5年度4月現在では、幹線路線2路線、枝線路線19路線となっています。

ふれあいバスの収支状況

過去5年間における、ふれあいバスの収支状況をみてみると、下の表のようになります。

出典:高千穂町企画観光課より提出の資料より

過去3年間については、コロナ禍による病院の受診控えや巣ごもりの影響が多分にあったものと思われますが、傾向として利用者は減少し、それに伴い収入が減少していることがわかります。

一方、経費については、人件費、燃料費など、さまざまな経費について増加傾向にあります。

結果として、赤字の金額がどんどん増加しているのが実情です。

100円値上げの議案

こうした状況を受けて、令和5年3月議会では、ふれあいバス事業の収支を改善するために、バスの料金を全区間において、100円値上げしたいという議案が、町長から提案されました。

バス料金について、現在は、基本的には4㎞未満100円、4㎞以上16㎞未満200円、16㎞以上300円と、これも条例で定められています。

過去にも料金改定が行われており、例えば平成28年度までは、最も高い料金で700円の区間もあったそうです。

平成29年度からは、多くの人に利用してほしいとの考えから、料金を値下げする改正が行われ、現在の料金となっています。

そのため、町長側の説明としては、「100円値上げをしたとしても、平成28年度までの料金にくらべると安い」といった説明もありました。

議会における反対意見

結論から言うと、冒頭でお伝えした通り、議会としては賛成少数で否決となりました。

なぜ、賛成の議員が少数で、反対の議員が多数だったのかについて、理由はいくつかあります。

主なものを説明したいと思います。

1つめとして、国はバス事業をしている自治体に対し、赤字額の4/5を特別交付税として交付しているということがあります。

つまり、例えば、ふれあいバスで7000万円赤字となった場合、国が5600万円を出してくれるため、実際の町の負担は1400万円ということです。

1400万円の負担であれば、条例で定められている「公共の福祉の増進」のためには、適正な負担ではないか、ということです。

2つめとして、仮に全区間において100円を値上げをしたとしても、それによる増収は、年間300万円程であり、根本的な収支の改善には至らないという点です。

3つめとして、ふれあいバスのサービス内容自体について、何も改善策がなかったことです。
後でもう少し詳しく説明したいと思いますが、現在、予約型バスや、のりあいタクシーなど、新たな取り組みによる公共交通サービスが増えています。
値上げの前に、こうしたサービス内容の改善が必要ではないかということです。

こうした意見が多数を占め、議会では、100円値上げをする議案は、賛成少数で否決となりました。

定時定路線と予約型バスのハイブリットに取り組む福岡県嘉麻市

先ほど、予約型バスについて触れましたが、2月に議会の総務産業常任委員会として、バス事業の先進事例として、福岡県嘉麻市に研修に行ってきました。

出典:議会だより たかちほ No.118 より

嘉麻市の取り組みを紹介したいと思います。
嘉麻市では、定時定路線と予約型バスのハイブリット運行に取り組んでいます。

定時定路線とは、高千穂町のふれあいバスのように、〇時〇分に、〇〇というバス停にバスが来る、というものです。

予約型バスというのは、事前に利用者が乗下車する場所と時間を予約し、複数人の利用者で乗り合わせて移動するバスのことです。

嘉麻市では、利用客の多い時間帯は、定時定路線で運行し、利用客の少ない時間帯は、予約型バスとして運行しています。

定時定路線と予約型バスとでは、利用料金が異なっており、定時定路線が200円であるのに対し、予約型バスは300円となっています。

しかし予約型バスは利便性がよいため、嘉麻市の人口は減少傾向にあるそうですが、市バス全体の利用者は増加傾向にあるようです。

それに伴い、バス事業においても収支が改善しています。

人口が減少していても、住民のニーズにあったサービスを提供することができれば、利用料金を上げても利用者が増えるということを示している事例で、とてもすばらしい取り組みだと思いました。

まとめ

ふれあいバスを全区間100円値上げをする議案について、議会では否決しました。

とはいえ、現状のままでよいというわけではありません。

今後は、高千穂町においても、嘉麻市が実践している予約型バスなど、ニーズにあったサービスの提供を検討してほしいと思います。

では、今回はこれで失礼します。

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