こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
3月議会では、私は「学校給食の無農薬化・有機食材への転換」について、一般質問をしました。
今回はこの件についてまとめたいと思います。
町長2期目の公約
まずは前置きとして、町長の公約について、書かせていただきます。
令和4年12月に、高千穂町長選挙がありました。
ご存知のとおり、現職の町長のみ出馬したため、現職の町長が無投票で当選しました。
以前から、町長選が無投票になりそうだ、という状況でしたので、予想通りといったところです。
ただ、私が個人的に目を引かれたのは、町長の2期目に向けた公約の内容です。
配布されていたリーフレットに書かれた公約の中に「給食食材の無農薬化・有機食材への転換」というものがありました。
他の公約が、1期目の取り組みを持続・発展させるものであるのに対し、この項目だけは、1期目に取り組んでいなかった項目になります。
ただ、具体的にどのような道筋でこれを実現するのかについては、ほとんど白紙のような状態であると感じました。
私としても「給食食材の無農薬化・有機食材への転換」は大賛成ですので、どのように推進していけばよいのかについて、私なりに思うところを、3月議会の一般質問では訴えました。
さまざまなことを提言したのですが、この記事では、主要な3点にしぼって書かせていただきます。
論点1 条例の制定を
1つ目は、給食食材の無農薬化・有機食材への転換を、高千穂町として推進していくことを、条例で定めてはどうかということです。
自治体主導で、学校給食の米をすべて有機米にすることに成功した自治体として、最近、注目されているのが千葉県いすみ市です。
いすみ市には、もともと米を有機栽培している生産者はいないところから始めたそうですが、6年で給食の米の全量を有機米に転換できたそうです。
ただ、成功事例のいすみ市であっても、6年かかっています。
このように、給食食材を有機食材に転換する取り組みには、長い期間が必要になります。
一方で、町長は4年の任期のため、そのたびに変わる可能性があります。
今の町長が有機食材への転換を推進したとしても、町長が変われば、その取り組みが途絶えてしまう可能性もゼロではありません。
しかし、町として給食食材の無農薬化・有機食材への転換を推進することを条例で定めることができたなら、仮に町長が変わったとしても、条例が廃止とならないかぎり、取り組みが途絶えることはありません。
そのため、町として給食食材の無農薬化・有機食材への転換を推進することを条例で定めてはどうかと提言しました。
論点2 保育園の給食も取り組みを
「給食食材の無農薬化・有機食材への転換」は、町長の新たな公約ですが、具体的にどのような道筋でこれを実現するのかについては、ほとんど白紙のような状態と書きました。
しかし、教育委員会に確認すると、令和5年度に、学校給食の米について、減農薬米に転換する予定であることを教えてもらいました。
具体的には、令和5年度の作付けにおいて、子どもの脳の発育異常との相関関係が指摘されている、ネオニコチノイド系殺虫剤を使用せずに栽培する予定の生産者グループが町内におり、その米が収穫でき次第、町内の小中学校の給食の米に使用するとのことでした。
このこと自体はいいことなのですが、ここまで考えているなら、保育園の給食についても、同様の取り組みができないかと提言しました。
せめて、町立の保育園である天岩戸保育園では、同様の取り組みをしてほしいと思ったのです。
論点3 食材費の増加分を町で負担を
一般に、有機農産物や、減農薬などの特別栽培の作物は、慣行栽培のものに比べて、価格が高くなります。
そのため「給食食材の無農薬化・有機食材への転換」に取り組む中で、食材費の仕入れの費用が従来よりも高くなることが予想されます。
一方で、子育て世帯に、今以上に、給食費について負担をお願いすることは、少子化に拍車をかけることになりかねません。
そこで、町の施策として「給食食材の無農薬化・有機食材への転換」に取り組む中で、仕入れ価格の増加分については、町で負担するべきではないかと提言しました。
答弁1 条例制定を目指したい
次に、各提言に対する答弁を、簡単にまとめたいと思います。
まずは、条例制定してはどうか、という提言に対する答弁は次のようなものでした。
「取り組みの継続のために、条例の制定は意義のあることだと考える。
しかし、まずは推進するための組織・体制づくりが先だと思う。
まずは体制づくりを行い、町としてこうした体制で取り組むという条例を制定することで考えたい。
具体的な制定の時期は明言できないが、極力早い段階での制定を目指したい」
答弁2 いつからできるか協議する
次に、「保育園の給食も取り組みを」という提言に対する答弁をまとめます。
「私も保育園などから導入したいと考えている。
天岩戸保育園については、町立のため、いつから取り組めるか協議したい。
民間の幼保園については、啓発・相談などを進めたい。
同時に、生産者の皆様とも、早めに協議したい。」
答弁3 家庭に負担をかけない
次に、「食材費の増加分を町で負担を」という提言に対する答弁をまとめます。
「確かに食材の仕入れ価格は今よりも高くなると想定している。
一方で、給食の無償化よりも、給食食材の有機食材への転換を優先して取り組みたいと考えている。
そのため、仕入れ価格の増加分を保護者の皆様の負担とすることは難しいと考えている。
具体的にどの程度の費用がかかるのかなど、分った時点で、議会と相談しながら進めたい。」
まとめ
現在、子育て支援の一環として、学校給食の無償化に取り組む自治体が多くなってきています。
しかし、高千穂町は、無償化よりも、給食食材の無農薬化・有機食材への転換を優先したいという考えです。
私は町長のこの方針について支持したいと思います。
無償化に取り組んだとしても、得られるのは、給食を食べる期間の経済的な支援だけです。
支援の対象は、子どもというよりは、子どもの保護者への支援という意味合いが強いと思います。
しかし、より安心・安全な食材で給食が提供され、それを食べて、より健康な体づくりができれば、その恩恵は、一生続くものだと思います。
実現するまでには、クリアするべき、いくつもの課題があることと思いますが、力強く推進してほしいと思います。
では、今回はこれで失礼します。