板倉てつお 公式ブログ

高千穂鉄道跡地公園化に3つの提言

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議会だよりたかちほNo.119より

こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

6月議会で「高千穂中学校移転改築」と「高千穂鉄道跡地公園化」について、一般質問をしました。

本来であれば、1つずつ別々の機会にじっくりと質問をしたいテーマでしたが、6月のタイミングを逃すと、手遅れになってしまいかねないと思い、この2つについて質問しました。

ですので、せめて、このブログだけでも、2つにわけて報告したいと思います。

今回の記事では、「高千穂鉄道跡地公園化」について、どういった提言をしたのかについて、まとめたいと思います。

提言1 鉄道公園は規模を縮小しては

町が策定した鉄道跡地公園化基本計画によると、36年間の事業期間で事業費は54億4339万円、そのうち整備費だけで28億4475万円です。

整備費のうち15億3784万円は、県道7号沿いの整備費用です。
整備内容は、県道7号沿いに260台分の駐車場を整備する費用と、県道7号から旧天岩戸駅までの新たな進入路を整備する費用です。

提言した内容は、県道7号沿いの駐車場と新たな進入路の整備をやめ、大平エリア側のみの整備にしてはどうか、というものです。

というのも、鉄道跡地公園化の最大の目的は、「高千穂鉄橋を保存すること」だからです。

これを実現するために、本当に県道7号沿いの整備が必要なのかというと、私はそうは思いません。

県道7号沿いを整備せずとも、「高千穂鉄橋を保存すること」はできると思います。

答弁1 民間企業の意見を調査

この提言に対する答弁は「事業実施に当たっては、町の支出を抑えるために、民間事業者が出資する方式(PFI方式)での実施を考えているため、民間事業者の考えを確認していく必要がある。今後、民間事業者に対し事業説明を行い、意見を調査していきたい」というものでした。

なお、鉄道跡地公園化事業に参入する民間事業者が決まっているわけではありません。
町としては、多くの企業に参入してほしいと考えています。
多くの企業が参入に意欲を示し、多くの民間のノウハウも活用したいと思っています。

たとえば、鉄道公園内にお土産屋さんなども計画されていますが、店舗のデザイン案が1つしかないのと、5つくらいあるのとでは、選択肢の幅が全く異なります。

そのため、町としては、今後多くの企業に声をかけ、多くの企業が参入してくれる状況をつくりたいので、「今後、民間事業者に対し事業説明を行い、意見を調査していきたい」ということです。

提言2 入橋料(入場料)を徴収しては

山口県岩国市に錦帯橋という美しい橋があります。1673年にかけられた橋が、ほぼ姿を変えずに現代に残っていること自体がすごいことです。

この錦帯橋の維持管理のお金をどのように確保しているのかというと、岩国市では錦帯橋の入橋料を条例で定め、入橋者から徴収し、錦帯橋を維持管理する財源としています(錦帯橋の入橋料は大人310円、小学生150円)。

あくまでコロナ前の数字ですが、毎年60万人程が錦帯橋を訪れ、入橋料の収入は1億6000万円ほどになるそうです。

これにならい、高千穂鉄橋をはじめとする鉄道施設を維持管理する財源確保のために、入橋料あるいは入場料を定めてはどうかという提言をしました。

具体的には、あまてらす鉄道の利用者に対し、現在の料金に追加する形で、一定額を入橋料(入場料)として負担していただき、高千穂鉄橋をはじめとする鉄道施設の維持管理の財源としてはどうかということです。

現在のあまてらす鉄道の料金は、あくまでスーパーカートを運行する費用であり、鉄道施設の維持管理の費用はほとんど含まれていないからです。

令和4年度のあまてらす鉄道の利用者は7万2000人だったそうです。仮に入橋料(入場料)を1人500円とした場合、7万2000人×500円=3600万円の収入となります。

答弁2 あまてらす鉄道と協議したい

この提言に対する答弁は「あまてらす鉄道の利用者から一定額を徴収し、鉄道施設の維持管理費に使用する考えは、検討する必要はある。今後、あまてらす鉄道と協議したい」というものでした。

ま、当然といえば当然の答弁ですね。
高千穂鉄橋をはじめとする鉄道施設がなければ、あまてらす鉄道の営業もできなくなるわけですので、ご理解いただけるのではないかと思います。

そのうえで、金額をどうするか、どのように徴収するかなど、具体的な協議をしていただければと思っています。

提言3 目指せ重要文化財指定 

福岡県大川市と佐賀県佐賀市にまたがる筑後川昇開橋は、国の重要文化財の指定を受けている鉄橋です。

もともとは旧国鉄佐賀線の鉄道橋で、昭和10年に開通したものです。当時、通常は橋桁が上がっており、列車が通る時だけ橋桁が下がっていたため、地元住民からは時計替わりになるとして、大変親しまれていたそうです。

そのため昭和62年に佐賀線の廃止が決まった後も、地元から存続の要望があり、大川市と諸富町(現佐賀市)が財団法人筑後川昇開橋観光財団を設立し、現在は遊歩道として維持管理されています。

筑後川昇開橋の保存にあたっては、国の重要文化財の指定を受けていることが非常に大きなメリットとなっています。

具体的には、橋の改修などの維持管理費用について、文化庁から最大8割の補助がでているそうです。

なお、8割の補助というのは、財団法人のような一般団体が維持管理する場合であり、自治体が維持管理する場合は、通常は5割程の補助だそうです。

それでも、こうした補助があるのとないのとでは、負担がかなり違ってきますので、できることなら、こうした補助をもらえる体制にしたうえで、高千穂鉄橋を保存していくことができればと思います。

そこで、高千穂鉄橋についても、国の重要文化財の指定を受けるべく、国へ働きかけてはどうか、との提言をしました。

答弁3 必要な調査・協議を進めたい

この提言に対する答弁は「国の窓口である宮崎県文化財課と協議したところ、重要文化財の指定には、高千穂鉄橋が他の鉄橋施設と比較して特殊な構造であったり、建設当時の最新の構造であったなど、専門的な要素が必要とのことである。今年度中には文化庁からの視察を検討して頂いており、今後、調査・協議を進めたい」というものでした。

こちらについても、町の単独ではできないことですので、重要文化財の指定に向けて必要となる調査や、県・国との協議を進めていただきたいと思います。

まとめ

町が策定した「鉄道跡地公園化基本計画」は、あくまで、町がとりまとめた今のところの計画であり、これで全てが決定しているわけではありません。

我々、議会の意見や、町民の皆様の意見、今後の参入を検討する民間事業者の意見を取り入れて、今後、変更すべきところは変更していく可能性は大いにあると感じています。

ぜひ町民の皆様も、思うところがありましたら、町に、あるいはお近くの議員にでも、声を届けていただければと思います。

では、今回は、これで失礼します。

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