こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今回の記事では、天岩戸の湯について、まとめたいと思います。
経営的には赤字が続く天岩戸の湯
天岩戸の湯の沿革をまとめると、次のようになります。
天岩戸の湯は、平成6年(1994年)に、天岩戸温泉として開業しました。
その後、平成30年の成分検査で温泉法で定める基準を満たさなくなり、公衆浴場の天岩戸の湯となりました。
また、平成10年(1998年)開業の高千穂の湯とともに、開業以来赤字が続いていました。
そうしたことから、両施設の経営継続は困難となり、町民アンケートなどをへて、令和2年(2020年)度末をもって高千穂の湯が閉館し、現在は天岩戸の湯のみが営業を継続しています。
高千穂の湯の閉館と併せて、天岩戸の湯の集客力を高めるために、サウナ室の拡張などの改修を令和2年度に実施しています。
直近5年間の収支
天岩戸の湯は開業以来、赤字が続いています。
赤字が続いているのに営業を続けることができているのは、町の一般会計の中で、天岩戸の湯の経理をおこなっているからです。(ちなみに、病院や上下水道などは、それぞれ別会計でしないといけないと法律で定められており、基本的に、赤字にすることができません。)
では、どの程度の赤字となっているのか、直近5年間の収支を見てみたいと思います。
見ていただくとわかるとおり、コロナ前から、歳出が歳入を上回っています。
2021年度の赤字が最も大きく、マイナス4411万円です。
利用者数については、開業した平成6年(1994年)が最も多く、11万4299人の利用がありました。しかし、年々減少傾向にあり、2020年・2021年はコロナの影響も大きくありました。
現在は、コロナ前の水準に戻ってはいますが、5万人に満たない状態です。
さらに、近年の物価高騰により、燃料費・光熱水費を中心に経費が上がっています。
老朽化も進んでおり、修繕にかかるお金も増えています。
令和5年度の予算の状況
では、今年度の令和5年度について、天岩戸の湯の予算はどのようになっているのか見てみます。
当初予算の段階で、歳入見込み1318万円、歳出見込み7163万円で、当初予算の時点で収支は、5845万円の赤字となります。
さらに、物価高騰の影響で、燃料費・光熱水費について、追加の補正予算を12月議会で可決しています。
議会だよりで、478万円を増額したとありますが、このうち291万円が天岩戸の湯の予算です(のこりの186万円は温水プール)。
ですので、赤字の見込み額は、さらに大きくなります。
令和5年度は水道管を更新 翌年度はボイラーを予定
なぜ、令和5年度の歳出が例年以上に大きくなっているのかというと、今年度は老朽化が進んでいた水道管の更新を行ったからです。
これだけで、2000万円近い予算が組まれていました(実際には、ここまでかかっていないと思いますが)。
ただ、水道管の漏水で、たびたび休館することもあったため、その根本的な解決のためには、必要な経費だと思います。
もちろん、老朽化は施設全体で進んでいます。
そして、水道管以上に更新に費用がかかるのが、ボイラーです。
ボイラーの更新については、来年度の実施を検討しているとのことです。
その財源をどう確保するかが問題となりますが、昨年度、企業版ふるさと納税で、観光振興のためにと寄付していただいたお金が2億円あり、まだ1億2000万円程が未使用となっており、そのお金を充てることを考えているとのことです(ちなみに、使用した8000万円程の大半は、家畜市場や押方グラウンドの駐車場の舗装整備などに充てられています)。
また、ボイラーを更新するとなると、2カ月ほど休館せざるをえないようで、その間に、ほかの修繕必要箇所についても修繕したいとのことです。
まとめ
ご覧のように、開業以来赤字がつづき、老朽化も進んでいる天岩戸の湯ですが、それでも施設を存続させている背景としては、利益を第一としているわけではなく、福祉目的もあるからと、私は理解しています。
たしかに、一部の地区で断水となり、お風呂に入れなくなっても、天岩戸の湯があれば、入浴できます。
実際に私もお湯が出なくなったことがあり、天岩戸の湯のおかげで、入浴できたという体験があります。
とはいえ、無限に赤字を許容できるわけではありません。
そのあたりのバランスが町政運営の上で、大切だと思います。
では、今回はこれで失礼します。