板倉てつお 公式ブログ

保留となった鉄道跡地公園化構想

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出典:議会だよりたかちほNo.122

みなさん、こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。

今回の記事では、3月議会で町長から公表のあった、高千穂鉄道跡地公園化構想の保留について、まとめたいと思います。

鉄道跡地公園化構想とは

高千穂鉄道跡地公園化構想は、2019年に町が公表した構想です。
簡単に言うと、廃線となった鉄道施設の一つである高千穂鉄橋を中心に、公園を整備するというものです。

高千穂鉄橋は、高さが105メートルあり、かつては鉄道協として東洋一の高さを誇る鉄橋でした。
その鉄橋を、歩いて渡れる施設に改修し、通行料をもらって、観光客に歩いてもらい、そこから生まれる収益でもって、鉄道施設を後世に残すというものです。

令和5年1月に公表された基本計画の詳細は、整備に6年、維持管理・運営に30年、経費はトータルで54億円という、大規模なものでした。

令和5年3月議会で予算を削除

この説明を議会が受けたのは、令和5年1月のことでした。
その後、住民向けに、町内6カ所で鉄道跡地公園化についての説明会がありました。
私もいくつかの説明会に参加しましたが、参加者の反応は、正直、厳しいものでした。

こうした状況のもと、令和5年3月議会において、議会は「住民の理解が不十分」であるとして、
鉄道跡地公園化構想を推進するための事業費の一部を削除する議決をしました。

令和6年3月議会にて、保留を公表

その後、令和5年度において、鉄道跡地公園化構想を推進するための予算は計上されませんでした。

そして、そのままの状態で迎えた今回の議会、令和6年3月議会の初日において、町長から、鉄道跡地公園化構想の保留が、突如、公表されました。

議会への事前連絡もなかったため、私はとても驚きました。
他の議員も同様だったように思います。

町長の発言内容は、次のとおりです。

「高千穂鉄道跡地公園化構想については一旦保留とし、高千穂鉄橋を文化財・鉄道遺産として後世に残すことを念頭に置き、それに必要な塗装工事費用の確保について、有利な財源調達ができないかなど、検討を進めたい」

高千穂鉄橋点検結果

時系列で逆行しますが、令和5年度には鉄道跡地公園化構想を推進するための予算は計上されませんでしたが、高千穂鉄橋の点検については予算がつき、執行されました。

そして、令和5年12月に、点検結果として大きく2点が議会に報告されました。

1つは、健全性の診断結果です。
点検の結果、高千穂鉄橋は、橋梁としての機能に支障は生じていないが、予防保全の観点から、塗り替えなどの対応が望ましい状態、とのことです。

なお、鉄橋の添加物(検査路など)について一部に腐食があり、今後、腐食の進行により、落下することも考えられるが、腐食箇所の下には道路などがないため、第三者に被害が出ることはないと考えられる、とのことでした。

そして2つめは、塗り替えの見積もり結果についてです。
その額が驚きの額なのですが、鉄橋の塗装と必要最小限の修理の見積もりとして、約19億円が必要になる、とのことでした。

構想公表時は、鉄橋の塗装に歩廊の整備、さらに耐震補強まで想定して約11億円の想定でしたが、ここ数年の物価の上昇の影響は非常に大きいですね。

構想保留について質疑

鉄道跡地公園化構想の保留について、質疑しましたので、そのやりとりについてまとめます。
(※正式な会議録ではありません。発言内容をもとに、よりわかりやすい表現に変更し書かせていただいています。)

 保留という判断に至った理由は。
 構想の金額が多額で住民の皆様から理解が得られにくい部分があった。
 さらに近年の物価高騰や災害復旧の負担などを考えると投資が難しくなってきた。
 また文化財として保存してはと議会から提言をいただき、その検討をしたいと考えた。

 保留ということを、町民の皆様に今後どのように説明をようにするのか。
 まずは町広報で、文化財としての保存の在り方を検討したいということを広報したい。

 鉄橋の塗り替えについて、令和5年度に新たに試算したところ、必要経費は19億円とのことで担当課より説明を受けた。
この塗り替え費用を、どのように確保するお考えか。
 町の財源のみでは非常に厳しいため、文化庁の文化財指定を受けて国の財源を確保し、塗り替えを行うということの実現に向けて検討したい。

 鉄道跡地公園化構想は、これまで総合政策課が担当していたが、文化財ということになれば、担当は教育委員会になるののか。
 文化財の検討については、総合政策課で引き続き担わせたい。

 保留とのことだが、再び、保留から推進に向かう可能性は。
 文化財となった場合、構想通りの開発ができない可能性もあり、どこまで観光地としての魅力を維持できるのかを見極めたうえで、検討したい。

まとめ

ここ数年の大きな論点のひとつであった鉄道跡地公園化構想が、おもいがけず、保留となりました。
私としても、町の構想は財政負担が大きすぎると思っていたので、町長の保留の考えには賛成です。

ただ、質疑の中にもあるとおり、高千穂鉄橋を後世に残すための最低限の費用として、塗り替えの19億円が必要になります。

国指定の文化財となり国の補助をどこまでもらえるかどうかが、今後、重要になります。

では、今回はこれで失礼します。

参考 時系列まとめ

・令和元年 
町長が鉄道跡地を公園化する考えを公表。
この時点では、高千穂鉄橋の塗装、歩廊設置、耐震補強に、約11億円を想定。

・令和3年2月 
鉄道跡地公園化基本構想を策定。
中川登側に大規模な駐車場と、駐車場から鉄橋までの新たな進入路が必要とされる。

・令和5年1月 
鉄道跡地公園化基本計画を策定。
町の負担の少ないPFI(民間企業が参入する)方式で36年間に約54億円が必要とされる。

・令和5年3月
議会は鉄道跡地公園化の関連予算を一部削除。

・令和5年12月
高千穂鉄橋点検結果が議会に報告され、塗装工事についての新たな見積もりとして約19億円が示される。

・令和6年3月
町長が鉄道跡地公園化構想の保留を公表。

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