こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
3月の議会で可決した「高千穂町景観条例」について、今日はまとめたいと思います。
まずは歴史的な背景からです。
日本で最初の景観に関する条例は、1968(昭和43)年に金沢市が策定した「伝統環境保存条例」(現:「金沢市における伝統環境の保存及び美しい景観の形成に関する条例」)だそうです。
その後、こうした動きは各自治体で広がったものの、大きな問題がありました。
それは、自主条例だったため、強制力がないものだという点です。
しかし、時代の流れと共に、国としても景観を重視するようになり、景観法が2004(平成16)年6月に公布されました。
とはいえ、景観法自体が直接に景観を規制するわけではありません。
景観法はあくまで、地方自治体の景観に関する計画や条例、それに基づいて地域住民が締結する景観協定に、実効性・法的強制力をもたせるものとなっており、罰則規定も定められています。
高千穂町では、2018(平成30)年3月に「高千穂町景観計画」を策定。
そして、3月の議会で「高千穂町景観条例」が可決されました。
景観計画においては、景観計画の適用を受ける区域(高千穂町の場合、町内全域)や景観計画区域における景観形成に関する方針や制限等を定めています。
一方、景観条例は、定められた景観計画を実行するために必要な、具体的な届出行為や届出の適用除外項目、変更命令の対象となる行為、勧告・命令の手続などについて定めています。
景観計画は、すでに建てられている建物については効力がありません。
これから建てられる建物等について、対象となります。
高千穂町景観計画では、景観形成に向けた理念として、「古代ロマンと日本のふるさと景観の創出」とあります。
これから建て替えられるたびに、古代ロマンあふれるまちなみになっていくことでしょう。
画像は古代ロマンの象徴とも言える高千穂神社の鳥居。
では、具体的にどうなるのかというと、ひとつには、チェーン店に見られるような、派手な色の建物について、規制することができまます。
他の自治体の例ですが、景観条例があることで、景観に配慮された建物の事例です。
(資料作成:高千穂町建設課)
こうした店舗だけでなく、例えば、このようなソーラーパネルについても対象となり、植栽などで目隠しをするなど、容易に見えないようにする必要があります。
その他にも、様々な決め事がありますので、詳細は以下にてご覧ください。
このように、高千穂町の景観形成に、今後は多大な役割を果たしてくれるであろう景観計画ができたことは、とてもうれしいことです。
唯一残念なのは、「もう少し早くできなかったか」、という点です。
景観計画をつくることのできる「景観行政団体」に、高千穂町がなったのは、2009(平成21)年です。
この段階までは、県内でも先進的な位置につけていました。
ですが、「景観行政団体」になったところで、「景観計画」を策定しなければ、意味がありません。
今となっては、宮崎県内で景観計画を策定していない市町村は少数派になっています。
(資料提供:高千穂町建設課 ※情報は平成28年3月31日現在)
もう少しはやく景観計画を策定できていたならば、、、と、やはり考えてしまいます。
エジプトを旅行した友人が、ピラミッドの前にあるケンタッキーにはがっかりという話をしていました。
同様に、観光地としても有名な神社のすぐ近くにチェーン店のお店があると、がっかりするという人もいることでしょう。
でも、過去を悔やんでも始まりません。
これからです。
ちなみに、「規制」だったり「罰則」だったり、景観について取り締まるというニュアンスになってしまいましたが、景観条例の目的としては、良好な景観を官民で力を合わせてつくっていきましょうという、とてもポジティブな目的のものです。
これから時間はかかりますが、高千穂を、より古代ロマンがあふれるまちに、そして、日本のふるさとともいえる農村景観を、官民で力をあわせていきましょう。
それでは、今日はこれで失礼します。