板倉てつお 公式ブログ

31年度からはじまる新しい森林管理について

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こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉です。

もう1ヶ月も前の7月18日のことですが、宮崎市で開催された「森林・林業・木材産業講演会」に、町議会の森林・林業活性化協議会として参加してきました。

その際、31年度から始まる新たな森林管理システムについて、学んできました。

学んだことを復習し、不明点については林野庁に問い合わせをして以下、まとめました。

これらの政策を決定したのは国になりますが、実働としては市町村に委ねられる部分が多く、さらに、森林の所有者には直接的に関わりのあることですので、読んでいただければと思います。

ひっそりと可決した森林経営管理法

まず振り返る必要があるのが、今年の5月25日です。
アメフトの悪質タックルやら、米朝首脳会談をするしないなど、他の大きなニュースがあったからか、あまり報道されなかったのですが、この日、「森林経営管理法」が国会で成立し、2019(平成31)年4月より施行されます。

どのようなことが決定されたのかというと、「経営管理が行われていない森林について市町村が仲介役となり森林所有者と林業経営者をつなぐ、もしくは市町村が管理する」ということになったのです。


森林経営管理制度(新たな森林管理システム)についてより引用(以下、特に記載のない限り同様)

「経営管理が行われていない森林」とは

では、「経営管理が行われていない森林」とは、どういった森林になのか、となります。

そこで基準となるのが、各市町村で作成されている「森林整備計画」です。
もちろん高千穂町にもあります。

いつ間伐するのかや、いつ伐採するのかなどが、その計画に定められています。
その計画にそった森林管理ができているかどうかが、ひとつの判断基準となります。

求められる市町村の役割

市町村の役割として、まずは、森林の経営管理ができているかどうかの調査があります。
つまり、経営管理ができているかどうかを判断するのは、市町村の担当者になります。

そして、「森林管理が行われていない森林」があれば、次に、森林所有者に対する意向調査を行います。
これまで通り、所有者自ら経営管理をするのか、もしくはこれを機に委託するのかを、所有者に確認します。

次に、市町村は、所有者の合意のもとに、「経営管理権集積計画」を定め、計画に基づき森林を管理していきます。

どのような計画になるの?

大きくわけて、2種類の計画になります。

1つは、条件は良いものの、これまで多くの所有者に分かれていたために、効率的な林業ができなかった森林については、林業経営者が主体となり、植えて、管理して、伐ってという林業を目指します。
(※図中の色の部分)

もう1つは、条件が悪く、森林を集約しても、林業的に採算が取れないところについては、市町村が主体となり、管理コストの低い針広混交林に、さらには、天然林へと誘導し、水源涵養などの多面的機能を大いに発揮できる森林を目指します。
(※図中の色の部分)

市町村に対する支援

これまで見てきたように、国が決めた法律ではあるものの、実際には市町村の役割が大きくなります。

「市町村に新たな業務が押し付けられて、大変だ~。人もお金も足りない~」となりますよね。

そこで、国としては市町村を支援するべく、新たな財源として「森林環境税」を、国から地方に譲与するための「森林環境譲与税」を創設することが、税制改革大綱にて決まっています。


平成30年度地方税制改正()についてより引用

資料の通り、来年の平成31年度には、森林環境譲与税が国から県と市町村に譲与されます。

ちなみに、高千穂町には、1,500万円ほどが譲与される見込みです。

また、人の支援措置も国としては考えてくれています。
具体的には、県OBの活用や、意向調査などについては市町村から外部に委託することも可としています。

様々な疑問と回答

新しい制度なだけに、様々な疑問と質問があがっています。

一部を紹介します。

期待されている宮崎県の林業

宮崎県は、スギの素材生産量が27年間日本一という、林業先進地です。

また、林野庁長官は、元宮崎県副知事の牧元幸司氏です。

この新たに始まる森林管理システムは、とても大きな変化なのですが、なぜかあまり報道がありません。
が、つい先日、牧元氏のインタビュー記事が、宮日に掲載されていました。

※宮崎日日新聞 平成30年8月12日

新たな制度に対する批判も

私も今回、初めて勉強したのですが、林業をなんとかしようという国の本気度は強く感じました。
しかし、一方で、この新しい制度を批判する声もきかれます。

何か新しいことをする場合、メリット、デメリットがあって当然です。
また、この新しい制度を、実際に舵取りをするのが市町村ですので、市町村の舵取り次第、というところもあります。
新しい制度を有効に運用できるように、デメリットについても知る必要があると思います。

私自身、素人ですので、まずは勉強したうえで、共有できればと思います。

今回はこれで失礼します。

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