こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
高千穂町の方には説明不要なのですが、現在、高千穂町では、新たな町長を決める選挙の最中です。
2名が立候補しており、どちらも新人です。
(2018年12月23日投開票日)
高千穂町には、立候補者の政見を一同に確認できる選挙公報の条例がないため、候補者の考えを知る媒体が、新聞くらいしかありません。
今日は下記の新聞記事から、まずは両候補の考えを比較したいと思います。
候補者に聞く
Q.出馬の理由は。
甲斐むねゆきさん
「20年間、町職員として働き、これからは現役世代が町政のかじ取りを担うべきだと思うようになった。
世代交代を実現し、思い切った施策を打ち出したい。
町だけでなく官民共同で施策を進めるなど、意欲改革をしていかなければならない。」
甲斐けさふみさん
「前回挑戦した4年前と変わらず、町内には閉塞感が漂っている。
39年間県職員として培ってきたネットワークを最大限生かし、全国的に知名度の高い高千穂が激変する社会から取り残されないよう、町民の意識を変えたい。」
Q.特に訴えたい点は。
甲斐むねゆきさん
「農林業振興に取り組み、これまで以上にもうかる産業にしていく。
特に畜産は市場を守るためにも母牛頭数を維持。
できれば増頭を目指す。
若い担い手の支援制度を充実させ、牛舎整備に町独自の支援を導入するなどして支えたい。
また、高千穂鉄橋を歩けるようにして鉄道公園化したり、町中心部の町職員向けの駐車場を観光客に有料で開放して町歩きを楽しんでもらったりと、観光地としての魅力をさらに磨きたい。」
甲斐けさふみさん
「町政を進める上で、情報公開が不十分だと感じている。
町民に参画してもらい施策を進めていく『新高千穂創生会議』を立ち上げたい。
また、基幹産業である農林業従事者の所得アップにつなげるため、農事組合法人を設立する。畜産や茶、野菜などを下支えし、高千穂ブランドを発信していく。
観光振興は九州中央自動車道の整備も進んでいることから、熊本の阿蘇方面から呼び込むよう県域を越えて連携していきたい。」
Q.深刻化する人口減少対策はどうするか。
甲斐むねゆきさん
「空き店舗を活用した開業、企業の後押しやIT企業などの誘致も進める。
子育て環境は現在、第2子以降に支給している子育て支援金を第1子から支給し、第4子以降は増額したい。
高千穂を中核に西臼杵の医療機関を集約するなど、町病院は効率的に運営する必要がある。
教育については高千穂高存続のため、高千穂中との連携型中高一貫教育校も選択肢の一つ。
寮の拡充も町として支援したい。」
甲斐けさふみさん
「町病院の医師確保が移住やUターンの促進には不可欠。
県病院局長として築いた人脈やノウハウを生かして医療環境の充実を図る。
また、西臼杵郡の人材を育成する場として高千穂高は重要。
学校全体の学力向上の場として公設の塾を開きたい。
退職して古里に帰っている元教員らを講師に招き、空き家や空き店舗を活用する。
また、古民家の改築に補助金を出し、移住のための環境を整えていく。」
Q.町の将来像をどう描く。
甲斐むねゆきさん
「建設業や介護、福祉の分野で人手の確保は苦しくなっている。
資格取得の支援制度を創設し、優秀な人材確保につなげたい。
また、小規模ながら文化ホールの機能を備えた町立図書館整備も推進し、暮らしを充実させる。
これまでの文化や産業、風土などの素晴らしい部分は引き継ぎ、新たな発想で、高千穂に誇りを持てるようにしたい。」
甲斐けさふみさん
「70代でも元気な人は多い。
高齢者にも社会参画してもらう。
若い世代に神楽などの伝統芸能をしっかり継承していくことが、若者の流出を防ぐ上、将来のUターンにもつながると考えている。
行政への参画を目的にした会議は複数の部会を構想している。
政策提言までしてもらうことで、若者から高齢者まで活躍する高千穂にしていきたい。」
(※以上、宮崎日日新聞の記事を再構成し転記)
討論会があったらなという声
政治への関心が低くなっており、首長選挙とはいえ、投票率が50%を切ることもめずらしくない今の日本ですが、ここ高千穂町に関して言えば、みなさんの町長選への関心は非常に高いと感じています。
今回は、お互いに新人だから、いつも以上に高いかもしれません。
一方で、「関心はあるのだけれど、候補者それぞれがどのような考えを持っているのかを知る機会が少ない」、「公開討論会があったらいいのに」というような声もちらほら耳にします。
同じ質問に対するそれぞれの考えを、上記の新聞記事のように読むのではなく、生の声で聞きたいということですね。
たしかに、文字として読むのと、生の声で聞くのとでは、同じことを言っていたとしても、伝わり方が違うことはよくあることです。
発言内容だけでなく、堂々としているとか、エネルギッシュであるとか、候補者の人物像も見てみたいというのが人情というところでしょうか。
ですが、残念ながら、今回の高千穂町長選では、討論会はないまま終わりそうです。
今後の参考に、県内の事例を見てみます。
討論会の事例(1)宮﨑市長選
宮崎市では、2018年1月28日が市長選挙の投開票でしたが、それに先立って、2018年1月14日に、意見発表会が開催されています。
記事の討論会は、市民団体が主催されたそうです。
その後、宮崎大学生が主催したり、青年会議所が主催してネット討論会をしたりと、数度にわたり行われたようです。
討論会の事例(2)延岡市長選
宮崎市と同日に投開票となった延岡市長選ですが、それに先立って、2017年9月14日に、意見発表会が開催されています。
こちらはずいぶん早い時期からの開催ですね。
こちらは青年会議所が主催されたとのこと。
討論会の事例(3)小林市長選
小林市の市長選挙は、2018年4月15日が投開票日でしたが、それに先立って、2018年4月4日に討論会が開催されました。
ちなみに、民間団体が主催したそうです。
討論会の事例(4)日之影町議選
これまでの事例は、いずれも首長選挙に関連する討論会でしたが、最後の事例は地方議員選挙に関連する討論会の事例です。
日之影町では、2018年10月14日が町議会議員選挙の投開票日でしたが、それに先立って、9月22日に討論会が開催されました。
ちなみに、民間団体が主催したそうです。
ぜひ、討論会を
こうしてみると、多くの自治体で討論会が開催されているんですね。
選挙で勝敗を大きく左右する要因は「ジバン(人脈)、カンバン(知名度)、カバン(資金力)」といわれます。
つまり、政策論争と関係のないところで、選挙の勝敗が分かれるのが実情です。
多くの自治体で、こうした討論会の取り組みが広がるといいですね。
なお、選挙の候補者の討論会は、行政が主催できません。
そのため、事例で紹介したいずれの討論会も、民間団体が主催しています。
ぜひ、皆様の手で、討論会を主催されてはいかがでしょう?