こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
先日は、五ケ瀬町で行われた藤山浩先生の講演会を聞きに行きました。
地域おこし協力隊時代にいろんな講演会に参加しましたが、正直、記憶に残っていないことが多いです。
しかし、藤山先生の話はとても印象に残っていました。
なぜなら、地方が抱えている根本的な問題が何なのか、どうすればいいのか、とてもわかりやすく話をしてくれたからです。
藤山先生以上にわかりやすく説明してくれる人を他に知りません。
今回は藤山先生の話を聞いたのは2回目でしたので、前回以上に理解できたと思います。
今日は、講演の概要についてまとめたいと思います。
持続可能性が最も低い自治体は東京!?
日本は、人口減少時代に突入しました。
さらに、2040年には半数の自治体が消滅するとまで、言われるようになりました。
今、各地の自治体では、人口減少時代をいかに生き残るのか、頭をひねらせています。
そんななか、日本の自治体のなかで、持続可能性が最も低いのは東京とのこと。
なぜか。
それは、東京は、いまだに転入増で人口が増えている一方、全国で最も出生率が低いため、どこよりも急激なに高齢化になるからです。
このまま何もしないという選択肢はない
もちろん、東京がダメで、地方は大丈夫というわけではありません。
当然、多くの地方で人口が減少しており、このまま推移していけば、ますます人口が減少していきます。
人口が減少していけば、地域力の衰退につながります。
やがて、コミュニティを維持することができなくなります。
持続可能な地域をつくるには、このまま何もしない、という選択肢はないのです。
カギを握るのが30代前半の女性
持続可能な地域をつくるうえで、カギを握るのが、30代前半の女性です。
地方で育ち、いったんは進学や就職で地元を離れた女性がいたとして、その女性を30代の前半のうちに、あるいは、20代のうちに、いかに地元に取り戻すか、がカギとなります。
理由は簡単で、人口を安定させるには、次世代を担う子供が必要だからです。
そのため、出産適齢期の女性をいかに取り戻すかが、持続可能な地域をつくるうえで、大切になります。
移住者を増やす取り組みも必要です。
定年後に地元にUターンする人も悪くはないのですが、ここでもやはり、優先すべきは、20代のカップルや、30代で子供がすでにいる家族のほうが優先度が高いです。
人口の1%を取り戻す
藤山先生がよく言われるのは「1%戦略」です。
人口の1%にあたる移住者を獲得できれば、持続可能な地域づくりが可能というものです。
人口の1%の移住者の獲得というと、かなりハードルが高いと思うかもしれませんが、実現できるという根拠があります。
それは、2016年の東京圏への転入超過が11万人です。
一方で、全域過疎指定を受けている616市町村の人口合計では、5万7000人の増加(人口比0.73%)で、人口の安定が実現できるそうです。
もし、東京へ向かっている人の流れを地方にむけることができれば、人口の1%にあたる移住者を獲得できるのです。
所得の1%を取り戻す
人口を1%増やすには、増えた人を養うための収入も取り戻す必要があります。
この「取り戻す」というところが肝です。
1%の所得を増やす、ではないのです。
所得を取り戻すとはどうゆうことか。
簡単い言うと、いかに地域から出ていく所得を減らし、いかに地域で経済を回すか、です。
例えば、パン屋さんがあったとして、売り上げが2000万あったとします。
もし、大手のパンメーカーから仕入れた商品のみを販売するパン屋なら、2000万の売り上げがあったとしても、実際の利益は220万しかありません。
しかし、もし、地元で製造したパンを販売し、2000万の売り上げがあったなら、実際の利益は760万になります。
消費者としては、大手メーカーの安価なパンに、つい手が伸びてしまいますが、実際にはそっちの選択の方が、地域の所得は減少するのです。
高齢者の健康が所得を取り戻す
所得を取り戻すには、上記のような購買行動だけではありません。
高齢者に元気でいてもらい、いかに医療費や介護費用を払わないかも、とても大切です。
払わないということは、それだけ地域の所得を取り戻していることになるからです。
下のグラフは、山口市の例ですが、地区別でこれだけ介護費用が違うという一例です。
自分ができることからやりましょう
藤山先生は、「人口を安定させるには、急激な変化ではなく、じっくりと取り組むことが大切」とおっしゃっていました。
確かに、補助金で移住者を一気に増やしたとしても、補助金がなくなれば、移住がピタッと止まってしまうようでは意味がありません。
自分でできることから、そして、自分の地域でできることから、取り組めばいいと思います。
よく言われることですが、セミナーや講演会に参加しても、実行する人はごく一部と言われます。
「持続可能な地域をつくるには、このままでいいという選択肢はない」わけですので、できることから、行動していきましょう!
私もできることから、まずは、おいしい地元のお米をお腹いっぱい食べることからはじめてます(笑)。
では、今回はこれで失礼します。