こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
6月の議会では、性的少数者への対応について、一般質問をしました。
今回の記事では、その内容をまとめたいと思います。
論点のおさらい
論点1 性の多様性の啓発
論点2 同性パートナーシップ制度の導入
論点3 ジェンダーレス制服の検討
論点の詳細は、下記の記事をご参照ください。
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一般質問します 性的少数者への対応について
答弁1 研修の実施、ハンドブックの作成を進めていく
論点の1つ目は、性の多様性についての啓発に、町として取り組むべきでは、というものです。
なぜなら、性的少数者についての理解が以前に比べ広まってきたとは言うものの、まだまだ誤解や偏見が多いと思うからです。
正直、性的少数者についての研修を受講するまでは、私自身が性的少数者について、誤解や偏見をもっていました。
しかし、研修で、きちんとした知識を教えてもらう機会に恵まれ、理解を深めることができました。
ですので、多くの町民の方と接する町職員や、児童生徒と接する教員の方をはじめ、町が啓発に力を入れるべきというのが私の考えです。
この点についてのやりとりを、簡単にまとめます。
Q.町職員、教員が性の多様性についての理解を深めるために、ハンドブックなどの作成をしてはどうか。
A.職員の研修を実施し、ハンドブックの作成なども進めていく。
Q.研修をしただけ、ハンドブックを作成し配布しただけで終わらないためにも、実効性の高いものにする必要がある。
その点で、宮崎市が作成している「行政場面での対応事例集」は、好事例だといえる。
本町も同様の取り組みをしてはどうか。
A.良い提案をいただいた。性的少数者の方が窓口に来られた際に、適切な対応がとれるように、性の多様性についての周知と、具体的な業務の事例集の作成について、前向きに取り組みたい。
Q.性同一性障害の方が、自身の性別の違和感に気づいたのは、小学校入学前というケースが多いそうだ。
小学校の早い段階から、性の多様性について理解を深める必要があるのでは。
A.性の多様性についての啓発は大切と認識したうえで、その他にも自閉症、ADHD、障がい者など、配慮を必要とする方はたくさんいる。
教育活動全体を通じて、道徳教育、人権教育に取り組む。
Q.性的少数者の方の中には、自身が性的少数者であることについて、家族にも打ち明けられずにいる人も多くいるようだ。
性の多様性についての啓発は、児童生徒の家族にも必要と思われるが、いかがか。
A.各学校、学級では、学校通信や学級通信を出している。
性の多様性を含め、人権課題を授業で扱った際は、この通信を活用して紹介していきたい。
答弁2 導入に向け検討をしていく
論点の2つめは、同性パートナーシップ制度を導入してはどうか、というものです。
同性パートナーシップ制度とは、一定の要件を備えた同性のカップルに対し、パートナーシップ関係を自治体が証明、確認する制度です。
宮崎県内でも、すでに9の自治体が導入しています。
この点についてのやりとりを、簡単にまとめます。
Q.本町においても、同性パートナーシップ制度を導入してはどうか。
A.関係課と連携を図りながら、また、他の自治体の先進事例を参考にしながら検討していく。
Q.町営住宅は基本的に単身者が入居できない。そのため自治体により、同性カップルが家族と認められず、入居が断られた事例があるそうだ。
しかし、同性パートナーシップ制度が導入されれば、家族として認められるのでは。
A.町営住宅については、事実上婚姻関係にある者は対象となるが、それをどう証明するかに課題がある。
パートナーシップ制度が導入されれば、証明になり得ると思うので、検討していく。
Q.同性パートナーシップ制度は自治体ごとで要綱を策定して制度化するケースが多い。
そのため、自治体により、内容が異なっていることもある。
例えば、住所要件について、2人とも、当該自治体の住民でなければならないというケースもあれば、どちらか1方が、当該自治体の住民であればよいというところもある。
婚姻届けは2人の住所が異なっていても受理されることから、私はどちらか1方が、住民であればよいと思う。
町長の考えは。
A.パートナーシップ制度は、婚姻届けに相当するものだと思う。そのため、住所要件は柔軟に、どちらか1方が住民であればよいと思う。
Q.住民全体への啓発として、ハンドブックの全世帯への配布や、性的少数者に関する映画上映会などをしている自治体もある。
本町も実施しては。
A.パートナーシップ制度の導入について前向きに取り組むということは意思表示させていただいたが、ある程度準備が整った段階で、広報誌や住民向けハンドブック作成など取り組んでいきたい。
答弁3 生徒、保護者の意見を伺う
3つめの論点は、中学校におけるジェンダーレス制服の導入です。
からだの性とこころの性が一致しないトランスジェンダーの場合、中学生の時に直面するのが制服の問題です。
これを解決するため、男女差のあまりないジェンダーレス制服を導入してはどうかと思います。
この点についてのやりとりを、簡単にまとめます。
Q.町内の中学校において、ジェンダーレス制服を導入してはどうか。
A.令和2年度の生徒総会で生徒からの要望があったことをきっかけに、女子生徒用のスラックスを取り入れたりしている。
また、ある保護者から、現在の女子生徒用のスラックスは冬用しかなく、夏は大変な思いをしたときいた。
現在、女子生徒用の夏のスラックスへの対応を調整しているところである。
制服については、ちょうど今が過渡期と思う。
自治体によっては統一制服を導入しているところもある。
今後も機会を見つけて、どのような制服が最適か、生徒・保護者に意見を伺いたい。
Q.これから中学生になる、現在の小学6年生にも意見を聞くべきでは。
A.中学校入学前の小学生にも意見を聞くことにも取り組んでいきたい。
最後に
「自分が暮らす地域には、同性パートナーシップの制度もなければ、学校で性の多様性に関する授業も無い。自分には居場所がないんだ。早く都会に行きたい。」
これは、宮崎県の県北地域の、とある中学生の発言だそうです。
宮崎県でLGBT交流会などの活動をされているレインボービュー宮崎という団体が実施している電話相談での発言だそうです。
私は直接この言葉を聞いたわけではありませんが、同じような思いをもちながら生活している人は、間違いなく高千穂町にもいると思います。
「自分には居場所がないんだ。早く都会に行きたい」という思いが、高千穂町の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にあるように、「高千穂に住んでよかった」という思いに変わるように、行政や学校が先頭に立って、誰もが自分らしく生きられる社会にしていく必要があると思います。
では、今回はこれで失礼します。