こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今回は、山田拓さんの講演会レポの後半です。
前回の記事はコチラ。
欧米系の観光客に対してサイクリングツアーを手掛ける株式会社美ら地球の山田さん。
一体、サイクリングツアーはどんな内容なのでしょうか?
山田さんいわく、
「新しいものをつくるのではなく、今あるものの見る角度を変えるだけ」
なのだそう。
たとえば、この画像。
何の説明をしているのかというと、日本人であれば、誰もが知っているであろう、お米について説明しているのだそうです。
お米はこんな種で、田んぼに水をためて、苗を植えて、それが育って穂が出てきて、秋には刈り取って、、、。
え?
そんな当たり前のことを説明しているの?
となりますよね。
ですが、外国人、特に欧米の人は、寿司や日本酒は知っていても、その元の食材のお米については、ほとんど知らないのだそうです。
つづいて、こちら。
日本を訪れる外国人は、日本の子供が全員ランドセルを背負って通学している様子に、興味津々なのだそう。
確かランドセルって、日本だけなんでしたっけ?
いつだったか、ランドセルが海外のセレブの間で流行っているとか、ネットで見た気がします。
つづいてこちら。
お弁当を食べている様子ですが、、、。
写真を見る限り、大きめのおにぎり2個です。
一見質素に見えますが、コンビニで買える弁当よりも、このような食事の方が、日本の田舎を体験するという点では合致していますね。
他にも、写真はありませんが、外国人受けがいいものとして、柿があります。
柿なんて、まさに今の日本には腐るほどありますよね。
でも、外国にはないので、とてもめずらしがるんだそうです。
あるいは、川を流れる水。
日本は世界でも有数の水に恵まれた国です。
1年を通して川に水が流れていることは珍しくありません。
ですが、世界的には1年を通して川に水が流れているのは珍しいのだそうです。
一体、どんなツアーをしているのかと思いきや、日本の田舎にはどこにでもあるようなものを紹介しているんですね。
比較的高額なガイド料にもかかわらず、かつ、どこにでもあるようなものを紹介して、本当にお客さんの満足度は高いの?と疑問に思う方もおられるかと思います。
では、世界最大の旅行サイト、トリップアドバイザーを見てみましょう。
このサイトは、ユーザーが5点満点で評価できるようになっています。
サイクリングツアーの評価はというと、、、なんと「5.0」。
(※画像は、トリップアドバイザーのスクリーンショット、参照元はコチラ)
この満足度はすごいですね。
私としては、高千穂町が誇る観光地である高千穂峡の口コミが気になるところ。
見てみると、4.5でした。
(※画像はトリップアドバイザーのスクリーンショット、参照元はコチラ)
いかにサイクリングツアーの満足度が高いかがわかりますね。
でも、山田さんの会社がしているサイクリングツアーで案内しているのって、田んぼだったり、川だったり、地域のあたりまえの食事だったり、そこに住む人だったり、、、、。
これって、どこにでもあるものですよね。
では、他の地域と何が異なるのか?
それは、地域にある当たり前のものを、サイクリングツアーという「商品」にしている点です。
美しい風景。
自然。
食べもの。
そこに暮らす人。
これらは、あくまで地域の「素材」です。
「素材」のままだと、お金になりません。
大切なのは、この「素材」をつかった「商品」をつくり、それを販売することです。
そして、販売する際は、安売りをしてはいけません。
安売りをしては、どんなに観光客が訪れたとしても、地域にお金が落ちないからです。
大切なことは、おもてなしをすることではありません。
地域にお金を落とし、地域を維持することです。
おもてなしをするのは、地域を維持するための手段です。
実際に山田さんが手がけるツアーでは、地元のお菓子屋さんを回ったり、酒屋さんを回ったり、直売所に行ったり、農家に体験に行ったりして、地域にお金が落ちるようにしています。
さきほど紹介したおにぎりも、地元の企業によるものです。
そして、比較的高い単価でも喜んでお金を払ってくれる観光客こそ、欧米系の人たちというわけです。
山田さんは、サイクリングツアーをとおして、4つのハッピーを実現できているといいます。
ツアー会社だけが儲けていたら、ひんしゅくを買うだけですもんね。
ここまで来たら、あとは各地域で行動あるのみ!
いやいや、外国人を案内するなんてできないよ、となるかもしれません。
ですが、山田さんいわく、
「やれる人材を外からでも確保するコト」
なのだそう。
確かに、人材はいくらでもつくれます。
一方、美しい風景や、そこに根付いた食文化や、そこでの伝統的な暮らしは作れません。
作れませんが、今後、失われる可能性はあります。
美しい棚田の風景。
10年後も棚田が維持できているでしょうか?
こんな田舎では暮らせないといって出ていく人が後を絶たず、限界集落、さらには集落が消滅することも考えられます。
そうなると、そこに根付いた食文化も失われます。
地域のいいものを維持するために、年々増加する外国人旅行者を受け入れる仕事をし、地域にお金が落ち、その地域の人が潤い、出ていかずとも暮らしていける。
それを実践しているトップランナーが、山田さんというわけです。
もっと山田さんから学びたいという人は、ぜひ、山田さんの著書を読んでみてください。
今月発売だそうです。
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楽天ブックスの方が、郵便ポストに入れてくれるので気楽に注文できるんですよね。
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それでは、今日はこれで失礼します。