こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
今回は、養護老人ホームときわ園の民間委託についての続編です。
前回の記事はこちら⇒養護老人ホームときわ園の民間委託について その1
前回の内容を簡単に言うと、ときわ園の収支計画が赤字だが、本当にそれでいいのかということでした。
なぜ赤字になるのかというと、入所者数が大いに関係してきます。
定員が55名なのに、45名の入所を想定?
執行部によると、ときわ園の入所者を45名と想定していました。
ときわ園の定員は55名であるにもかかわらずです。
つまり、定員にくらべ10名分も空きがあることになります。
空きがあることで、どんな不都合が生じるのかというと、ときわ園としての収入減です。
ときわ園のような養護老人ホームは、自治体から措置費(運営費)として、月に1人当たり17万円程が支払われます。
つまり、最大限の収入を確保しようとするならば、満室状態を1年維持することが求められます。
満室を維持して黒字を実現
他の養護老人ホームでは、入所状況はどのようになっているのでしょうか?
まず、日之影町にある養護老人ホーム八戸清流園にて、いろいろとお話をお伺いしました。
※頂いた資料をスキャンし引用
ちなみに、八戸清流園を運営しているのは、社会福祉法人高千穂天寿会です。
入所状況についてお伺いすると、ほぼ1年間、満室を維持しているとのことでした。
それにより、年に300万ほどの黒字となっているそうです。
全国の施設の入所割合の状況は?
より広く、全国的な状況を見てみましょう。
平成25(2013)年に、全国社会福祉法人経営者協議会が実施した、全国の養護老人ホームに対して行ったアンケート調査の結果によると、定員を満たしている施設は全体の44%、定員の95%以上の施設は全体の67%(下の表の23%+44%)に上ります。
定員55名に対して45名の入所は、82%になりますので、かなり少数派に属することになりそうです。
今回のまとめ
養護老人ホームという事業は利益をどんどんあげるような事業ではありませんが、満室を維持するなど、やりようによっては、黒字で運営できるということがわかってきました。
一方で、全国の養護老人ホームで、満室を維持しているのは44%にとどまっていることもわかってきました。
満室を維持することが難しい理由とは何なのか。
そこには、養護老人ホームならではの制度が関係してきます。
次回は、そのあたりの説明をしようと思います。