こんにちは。
高千穂町議会議員の板倉哲男です。
先日、高千穂町議会議員の研修で、えびの市を訪問してきました。
えびの市による飯野高校への支援について学ぶことが目的でした。
えびの市による先進的な取り組みを学ぶことができましたので、共有したいと思います。
成績優秀者に毎月2万円給付
えびの市による飯野高校への支援は、
・給付型奨学金
・通学支援金
・学力向上等対策
の3本柱となっています。
給付型奨学金は、成績優秀者に毎月2万円を給付する、というものです。
各学年10人までという上限はありますが、最大で3年間、72万円が給付可能となっています。
給付ですので、一般的な貸与型の奨学金と異なり、返済の必要はありません。
貸与型の奨学金も合わせて活用できるとのことですので、ありがたいですね。
遠方からの通学者には交通費を助成
3本柱の2本目が、通学支援金です。
飯野高校へは、えびの市からだけでなく、小林市や高原町から通学している生徒もいます。
通学距離が遠くなればなるほど、当然、交通費がかかります。
その負担を少しでも軽減したいとのことで、毎月5,000円が助成される制度です。
これについては、成績など関係なく、えびの市外の生徒であれば、対象となります。
公営塾で学力向上
3本柱の3つ目が、学力向上等対策です。
他の2つのとりくみは経済的なハード事業といえますが、こちらはソフト事業であり、様々な取り組みがなされています。
たとえば、公営塾の取り組みです。
飯野高校内の空き教室を活用し、高校教員ではない外部講師が、週に2回補習授業をしています。
また、補修の授業がない日でも、自習室として活用でき、さらに講師の先生も在室しているため、わからないことを質問することができます。
検定受験のためのテキストも支給
公営塾の他にも、検定受験を支援する制度があります。
検定を受ける際の検定料の補助だけでなく、なんと、検定用の参考書についても支給されるとのことでした。
4年制大学進学率が向上
えびの市が飯野高校への支援事業を始めたのは平成23年度からとのことですが、紹介した3本柱の取り組みは、平成27年度からです。
それまで、20%ほどだった4年生大学への進学率は、これらの取り組みのおかげで、30%にまで向上しているそうです。
表現力を劇的に伸ばす地域活動
4年制大学への進学率が向上している背景には、公営塾や、検定の支援だけでなく、もうひとつ、飯野高校ならではの取り組みがある、とのことでした。
飯野高校は地域との連携を深め、普通科では地域貢献活動か地域探究活動のどちらかをすることになっています。
地域貢献活動とは保育園や介護施設などでの現場実習が主体で、地域探求活動では地域活性化のプランを自ら考え実践するプログラムです。
どちらの活動も時間割に組み込まれた活動であるため、3年間を通した活動が可能です。
こうした活動を経験した生徒は、表現力がとても豊かになり、AO試験ではとても有利になっているだろう、とのことでした。
2020年にはセンター試験が廃止され、今後は面接試験などでの表現力がさらに求められる時代になることが予想されます。
飯野高校は小規模だからこそ、こうした活動に取り組めることが強みだ、とのことでした。
※画像は飯野高等学校ホームページのスクリーンショット
地域に高校は必要 だから支援する
こうした説明を聞いて、とても素晴らしいと思ったのですが、1点だけ私が気になったことがありました。
えびの市の高校生でも、飯野高校へ進学する人もいれば、市外の高校へ進学する人もいます。
しかし、支援は飯野高校へ進学する学生にだけです。
つまり、えびの市にいながら市外の高校へ進学した場合、行政からのこうした支援を受けることができないのです。
えびの市の高校生であっても、一方は支援を受けられて、一方は支援を受けられないわけですので、不公平感が出るのではないか、という点です。
ちなみに、飯野高校支援の3本柱に、えびの市は平成30年度、1,630万円の予算を付けています。
しかし、担当者の説明によると、
「えびの市に高校が必要だという点については、多くの方から理解を得られていると思う。飯野高校への支援について、批判的な声は聞かない。」
とのことでした。
高千穂高校へも支援を
高千穂高校は西臼杵郡唯一の高校です。
高千穂高校がなくなれば、地域への影響ははかりしれません。
高千穂町においても、さらには、西臼杵3町による、えびの市のような、高千穂高校への支援が必要ではないでしょうか?
私はこれまでも、議会で高千穂高校への支援の必要性について発言してきました。
参考までに過去の記事です。
支援するにしても、ただ存続させるためだけの支援ではなく、より魅力的な高校にするためはどのような支援がよいのか、議会でも議論を深めていきたいと思います。
では、今日はこれで失礼します。